今回のご依頼はAOpenのAK77-333です。
このマザーボードは2002年3月頃に発売になったSocketAマザーボードで、この時期のマザーボードでは回路的に重要な部分に当然のごとく台湾製の低品質なコンデンサが使用されておりました。このマザーボードもまた然り。
依頼主様から送られてきたマザーボードを確認したところ、コンデンサは主に「日本ケミコン」と「Lelon」の2種類のメーカーの物が使われており、このうち台湾メーカー「Lelon」のコンデンサがすべて膨らんでいました。ちなみに中国語で電解コンデンサの事を「電解電容器」と言うそうですね。電容器、つまり電気の容器とはまさに読んで字の如く、という感じです。
当然これらのクソLelonコンデンサはすべて交換する事にしたのですが、ここで問題が発生。
CPUソケットの周辺にあるこのコンデンサ、「10V 3300μF」というスペックにしては直径がφ10と小さいんです。
どういう事かと申し上げますと、現在流通しているコンデンサで「10V 3300μF」のコンデンサはφ12.5と若干直径が大きく、このように3本が隙間無く並べられている部分には直径が大きいコンデンサをそのまま取り付けることは出来ません(無理をすればできますが)つまり何とかしてこの部分に合うφ10のコンデンサを入手せねばなりません。
策としては二つの選択肢があります。
- 同じ3300μFの容量のコンデンサでも耐圧が6.3Vの物ならφ10の物が手に入る。
- 耐圧が10Vの物でφ10の物となると2200μFのコンデンサあたりが入手可能な物のうち一番大きな容量となる。
しかしコンデンサの耐圧を無闇矢鱈に下げることはリスクを伴います(コンデンサが破裂したり発火したりします)ので前者の案は使えません。
そこで依頼者様に改めて連絡を取り、「マザーボードの設計にはある程度のマージンを設けてあるため、若干容量が小さめのコンデンサを搭載しても動作する可能性がある」という事を説明した上で、後者の案を採り3300μFのコンデンサの代わりに2200μFのコンデンサに交換するという事にしました。
取り外したコンデンサ。「Lelon」という台湾のメーカーの粗悪コンデンサ。
Lelonのコンデンサはコンデンサの上部よりも底がパンパンに膨れてしまう事が多いらしい。
交換に使用したコンデンサ
使用したコンデンサはもちろんすべて日本メーカー製です。
CPU周辺
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ 10V 2200μF 10MCZ2200M φ10×25mm × 3本
拡張スロット周辺
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ 6.3V 1200μF 6.3MCZ1200M φ8×16mm × 6本
マザーボードの隅にひっそりと存在するVRMのコンデンサ
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ 16V 1000μF 16MCZ1000M Φ10×16mm × 1本
その後マザーボードを依頼者様に返送し、動作確認をお願いしました。
特にCPU周辺のコンデンサの容量を一回り小さめの物に換装したため安定動作に不安がありましたが、以下の報告を頂きました。
何を持って問題ないと判断するかというのは難しいところですが、
- OS(Windows7)の再インストール
- ベンチマークソフトの連続稼動
- 連続20時間の稼動
を行って、別段怪しい動きをすることはありませんでしたので、問題ないと判断いたしました。