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Digital Performer 7のあまりにも重すぎるイベントリストを軽くする方法。


久しぶりのブログ更新になります。

Digital Performer 8が発表になりました。64ビット対応になり大量のメモリが使えるようになったり、プログラムがCocoaで書き直されてキビキビと動作するようになりました、というのが公式の発表のようですが、海外のフォーラムでは動作が重すぎるとか言われているようですね。私も64ビット化したことで大量のサンプルデータをプロセスメモリに読み込める事を期待したのですが、しばらくはアップグレードせずにDigital Performer 7のままで様子を見てみることにしました。

さて、そのDigital Performer 7なんですが、OSをMountain Lionにアップグレードしてから気がついたことがあります。

それは、イベントリストがめちゃくちゃ重いという事です。Snow Leopardで使っていた時にはイベントリストの編集に全くと言ってストレスを感じなかったのですが、なぜかMountain Lionでは実用に耐えないほど動作が重いのです。CPUはCore i7 2.3GHzです。イベントリストの処理如きで困るような性能ではありません。

具体的には、以下のような現象が発生します。

  • イベントリスト上の数値などを編集しようとして、数値をダブルクリックしてから編集可能になるまでに相当待たされる。
  • イベントリストのスクロールがマウスホイールやスクロールバーの動きに追随できないほど重い。(トラックパッドの2本指スクロールもまた然り)

さらに、私はイベントリストを頻繁に使います。基本的には鍵盤でラフに弾いたあとクオンタイズなりをかけてピアノロール上で大まかに編集した後、イベントリストでさらに細かく編集する、というのが私の作業の流れです。ですからイベントリストが重いとなると、これは作業に支障を来すと言わざるを得ないわけです。

ところが、そのまま作業を続けるといつのまにかイベントリストが通常の軽さに戻っていることがあるのです。

おそらくはSnow Leopard上では現れなかった何らかのバグがMountain Lionでは現れることによってこのように重くなってしまっているのでは、と予想しましたが、肝心の「いつのまにか軽くなる」条件がわからずにいました。

しかしながら今回、偶然Digital Performerをいじくっていてその解決方法を発見しました。残念ながらこの方法も確実ではなく成功率は8割程度なのですがそれでも便利ですので方法を紹介します。

手順

1.画面に開いているウィンドウがトラックオーバービューだけの状態にする。

余計なウィンドウが開いていると成功確率が下がるようです。そこで、ショートカットウィンドウやツールウィンドウも含め、他の余計なウィンドウを閉じて画面に表示されているウィンドウがトラックオーバービューだけの状態にしてやります。

 

2.適当なトラックのシーケンス上でOptionキーを押しながらダブルクリックし、イベントリストを開く。

この状態ではまだイベントリストは重いままです。イベントリストを開いたら、イベントリスト上の適当な箇所をクリックしてウィンドウまたはタブ(コンソリデイトウィンドウの場合)をアクティブにします。

 

3.今開いたトラックのトラック名をトラックリスト上でOption+クリックし、トラック名の変更が可能な状態にする。

トラック名を示すテキストがハイライトされ、選択状態になります。

 

4.カーソルキーの右を押し、トラック名のテキストの選択が解除された状態でリターンキーを押して確定。

この状態でカーソルキーの右を押すと選択状態が解除され、代わりにカーソルが点滅表示になります。この状態でリターンキーを押して確定します。

 

上記の手順で8割ぐらいの確率でイベントリストが元の軽さに戻ります。
戻らないときにはウィンドウを閉じてから開いてみたり、何度もトラック名の編集を行ったりすると成功することが多いようです。

さらにイベントリストを軽くする方法

Digital Performerのイベントリストには、イベントの位置を[小節|拍|Ticks]の形式だけではなく実時間で表示する機能も備わっています。しかしこの機能を有効にしていると若干ではありますがイベントリストが重くなります。そこでこの機能が不要な場合には切ってやりましょう。

この機能を無効にするにはSetupメニューからTime Formatsを選択します。

 

すると下の図のようなダイアログが現れますから、「Event Information」グループ内にある「Real time」のチェックを外してやります。

 

これでイベントリストには実時間が表示されなくなり動作が軽くなります。

 

MacBook Pro 15インチ(Mid 2012) レビュー


先週の事ですが、MacBook Pro 15インチ(非Retinaディスプレイモデル)を購入しました。 今まで使っていたiMac early 2008からの買い替えになりますので、iMacとの性能比較を主にレビューを書いてみようと思います。

購入機種

MacBook Pro 15インチ Core i7 2.3GHz (MD103J/A)

  • 8GB RAM / 500GB HDD
  • 標準解像度ディスプレイ
  • JISキーボード

開封の儀

新品MacBook Proの匂いにつられてやってきた猫。

付属品は至ってシンプルで、ACアダプタと簡単な説明書、ディスプレイの汚れを拭くためのクロスが付属します。説明書は説明書というよりはぺらぺらの紙になっていて「このMacBook Proはあなたのために生まれました」という冊子もありませんでした(汗)

購入の動機

私はプログラミング用途にWindowsマシンを、音楽制作用途にMacを所有しているのですが、最近になってプログラミングの作業よりも音楽の制作の作業を行うことが多くなり、また、自宅で作業した続きを外のリハーサルスタジオに持ち出してそこで続きの作業を行うことが多くなりました。

主にリハーサルスタジオで行う作業はボーカルやギターの録音です。実は今までにも同様の作業を行っていたのですが、その場合には自宅のiMacのDigital Performerでトラックダウンした物を東芝のネットブックに取り込んでスタジオに持ち込み、フリーソフトのDAWを用いてボーカルやギターなどを録音してから再びMacへと録音したトラックだけをコピーするという面倒な手順を踏んでいました。

また、音楽の制作においては重いプラグインを多用することもあり、2008年モデルのiMacでは力不足を感じていました。そこで、メインマシンとして使う事も可能であり、ある程度の性能を有しつつ、自宅で作業中の物をそのまま外へ気軽に持ち出して作業の続きを行える携帯性も兼ねたマシンの購入を検討しており、MacBook Proの購入に至ったわけです。

ProかAirかでずいぶん悩みました。

当初はMacBook AirにするかMacBook Proにするかでずいぶん悩みました。実は私は音楽の制作以外にも趣味の小説を書くのにもMacを使っており、重量が軽く気軽に持ち運べるMacBook Airに惹かれていたのも事実です。

しかし、音楽の制作において重い処理を行うことを考えると、クアッドコアCPU搭載という点だけはどうしても譲れませんでした。MacBook Airは11インチ、13インチともにデュアルコアですし、MacBook Proも13インチモデルはデュアルコアです。従って必然的に購入機種はMacBook Pro 15インチに絞られました。

また、MacBook Airはメモリの増設が不可能ですからメモリが安くなったときに増設する事もできません。ストレージの交換はできるようですが、ユーザ自らストレージの交換を行ってしまうと保証が効かなくなってしまうというのもマイナスポイントです。

対して、MacBook Proの場合はユーザによるメモリ増設やストレージ交換が認められていて、Appleの公式サイトでも手順が公開されています。私の場合は最初はHDDで運用し、大容量のSSDが安くなったタイミングを見計らってSSDに交換する予定でしたので、この時点でMacBook Airは購入対象外になってしまいました。

結果的にMacBook Proの購入に至ったわけです。やはり重量の点では不満が残ることになりましたが、それでも性能には大いに満足しています。

あえて標準解像度ディスプレイを選択したわけ

MacBook Pro 15インチモデルはBTOで高解像度(1680×1050ピクセル)ディスプレイが選択できます。

私は最初、今まで使っていたiMacの解像度が1680×1050ピクセルであることから、MacBook Proも高解像度ディスプレイを選択すれば、iMacの環境を殆どそのまま再現できると考えました。また、Digital Performerはわりと広い画面のほうが快適ですから、やはり普段使い慣れている解像度の方が良いと考えていたのです。

ところが実際に高解像度ディスプレイを搭載したMacBook Proの実物をみて考えが変わりました。 残念ながら目が悪い私に、15インチで1680×1050ピクセルの解像度というものは字が小さくて長時間の作業は辛いと感じたのです。そこで標準解像度(1440×900ピクセル)のディスプレイを選択したわけですが、これはやはり正解だったと思います。

今まで1680×1050ピクセルの環境でDigital Performerを使っていて、これを一回り低い解像度の1440×900ピクセルで運用すると「あ、狭いな」と感じます。しかし、MacBook Proの場合自宅でじっくり作業をする場合には外部ディスプレイを接続して作業できるわけですから、標準解像度ディスプレイを選択したことは全く後悔していないどころか、目があまり疲れないのでむしろ快適です。

メモリはやはり8GB以上あったほうが良い

このMacBook ProはMountain Lionへの無償アップグレード対象機種でしたので、私も早速アップグレードしました。 そして、Mountain Lionを起動してみてアクティブィティモニタを見てみると、なんと起動直後に2GB前後のメモリを消費していました。最小構成の4GBではせいぜい残りの2GBがフリーエリアということで、DAWを走らせたりタブを大量に開いてWebブラウジングを行うには少々キツい物があります。

やはりメモリは最初から8GBにしておいたほうが良いと思います。私は最初に4GBのモデルを購入して後で安いメモリを購入して増設しましたが、メモリ増設の際に外そうとした裏蓋のネジが以外とキツく、少しねじをナメてしまいました。外観を気にする方は最初からメモリを8GB搭載した状態で発注したほうが精神衛生上よろしいかもしれません。

また、Appleの公式ではこの機種に搭載できるメモリの最大容量は8GBとのことですが、実際には16GB搭載できるようです。

iMac Early 2008との比較

ウェブブラウジング

私がメインで使っているブラウザはGoogle ChromeとFirefoxで、場面によって使い分けています。 iMacではどちらのブラウザももっさりとした動きをしており、快適とはいえませんでした。特に私は大量のタブを開いてウェブブラウジングを行うことが多く、そうなるとタブの切り替えやウィンドウの切り替えがかなりもっさりとします。

ところがMacBook Proのほうではどちらのブラウザもサクサク動きますし、ユーザーインターフェースの反応も機敏です。さらに、iMacでは10枚もウィンドウを開けばExposéのフレームレートがガタ落ちしてカクカクとした動きになっていましたが、MacBook Proではそれが発生しません。

また、Mountain LionではSafariがかなり高速化したと聞いたので私もSafariを試してみましたところ噂通り爆速でした。さらにSafariとマルチタッチジェスチャの組み合わせはかなり強力で、ピンチアウト・インによるスムーズな拡大・縮小、2本指による滑らかなスクロール、これらが本当に快適に動きます。

実際、ウェブブラウジングに至ってはほぼマウスを使わずに快適にこなせます。まるでiPadを操作しているかのような感覚です。これならSafariをメインブラウザにしても良いな、と思いました。

Digital Performer

私がメインで使っているアプリケーションです。そして今回このMacBook Proを購入した目的の9割はDigital Performerです。 Digital Performerはバージョンが2.7の頃からお世話になっていて、MacがまだG3の頃から使っていました。

去年、音楽制作マシンをPower Mac G4からiMacに切り替えたときにもそのパフォーマンス向上に衝撃を受けたのですが、今回iMacからMacBook Proに切り替えてみて、またまた衝撃を受けました。

現在制作中のプロジェクトはコンプレッサやキャビネットシミュレータを大量に使う重たいプロジェクトなのですが、iMacでは重たくてどうしようもなかったものが、MacBook Proでは何の苦もなくサクサクと動きました。プロジェクトのロード時間もMacBook Proのほうがかなり高速でした。

こちらは、同じプロジェクトをMacBook ProとiMacで再生したときのパフォーマンスメーターの表示とアクティビィティモニタのCPU使用率の表示になります。公正を期すためにどちらも同じオーディオインターフェースとドライバを用いて、バッファサイズは256サンプルに設定しました。

 Digital PerformerのAudio Performanceの表示に限って言えば、およそ2倍の性能向上ということになりますが、実際にはそれ以上の性能向上がありました。 アクティビティモニタの方を見ていただくとわかりますが、iMacの方は再生中にほぼCPUの使用率が天井張り付きになります。これはオーディオ処理以外にもDigital Performerの画面周りの描画処理でCPUが食われるからで(実際にプロジェクトを再生中はDigital Performer以外にWindowServerプロセスが大量にCPUリソースを食いつぶしていた)、実際にこのプロジェクトを再生するとiMacではミキサーのレベルメータ表示の動きがカクカクになり、ユーザーインターフェースの反応も極端に悪くなります。

対して、MacBook ProのほうではまだまだCPUの能力に余裕があるように見えますし、実際にこのような重いプロジェクトを再生してもレベルメータはスムーズに動き、ユーザーインターフェースの反応も重くなりませんでした。さらに、CPU使用率を見ていただくと分かるとおり、Core i7本来の4コアに加えHyper-Threadingにより認識されている仮想4コアにもきちんと処理が割り当てられています。

これだけでも今回MacBook Proを購入した価値はあったと思います。 最後に、このプロジェクトのバウンスにかかった時間です。やはりMacBook Proが圧倒的に速いです。

ベンチマーク

比較対象として、本機のほかにPhenom II X4 945(3.0GHzクアッドコア)を搭載した自作WindowsマシンとCore 2 Duo(2.4GHzデュアルコア)を搭載したiMac Early 2008を用いました。

Cinebench

まずはじめに実行したのがCinebenchです。 このベンチマークはCPUの性能とGPUの性能を測定できます。マルチスレッドに対応しているためマルチコアのCPUでの性能測定を行えるほか、あえてシングルスレッドでの実行に限定することでシングルコアでの性能を測定することもできます。

Windows版とMac版がありますので、自作WindowsマシンではWindows版を、MacBook ProとiMacではMac版を用いて測定しました。 CPUの性能測定ではマルチスレッド・シングルスレッドのどちらにおいても下の表のようにCore i7を搭載したMacBook Proの処理能力が高いという結果になりました。

次にOpen GLのベンチマークを実行し、GPUの性能測定を行いました。ただし、比較対象機種の自作Windowsマシンに載っているGPUはGeForce 210という2000円ぐらいのGPUですので性能は良くないです。

このテストでもGeForce GT 650Mを搭載したMacBook Proが一番高い性能を示しました。ついでですのでIntel HD Graphics 4000の性能も計測しましたが、GeForce GT 650Mには及ばない物の2008年モデルのiMacのGPU(Radeon HD 2400 XT)よりもずっと高い性能を示しました。

Hyper Threadingの効果が確認できた

Cinebenchのベンチマーク結果にはMP Ratioという項目があります。これはシングルコアで実行したベンチマークをマルチコア(マルチプロセッサ)で実行した場合にどれだけ性能向上するかの指標です。

たとえばあるテストを二つのCPUコアで実行したときに単一のコアのみで実行した場合と比較して2倍の性能向上が見られた場合にはMP Ratioは2になります。 通常、マルチコアでの理論値はそのコア数になりますが(たとえば2コアなら2倍)、実際にはスレッド管理のオーバーヘッドがありますので、実際の数値は理論値よりも少し劣ります。

下の図はCinebenchを実行した各マシンのCPUコア数と実際にどれだけの性能向上があったかを示すMP Ratioの値になります。

iMac Early 2008と自作WindowsマシンのMP Ratioはほぼ理論値に近い値となりました。いずれもMP Ratioの値が実際のコア数を超えることはありませんでした。 対して、MacBook Pro Mid 2012は4コアの CPUを搭載しているにもかかわらず、理論値よりも上の4倍以上の性能向上が見られました。

これはHyper-Threadingの働きにより、4コアのCPU上で8スレッドが効率よく動いたことを示しています。Hyper-Threadingのような機構を持たないCPUでは4コアのCPU上で8スレッドを動かしてもこのような性能向上は見られません。

CPUは基本的に一つのCPUコア内に複数の演算ユニットを持っているのですが、あるCPUコアの使用率が100%をキープしていたとしても実際には全部の演算ユニットが満遍なくフル稼働している事は稀で、瞬間で観測すると演算ユニットの使われ方に偏りが生じ、遊んでいる(使われていない)演算ユニットがあります。

そこで、OSに対してさも仮想的なCPUコアがあるかのように見せかけて、遊んでいる演算ユニットを他のスレッドから活用してやり、コア全体の使用効率を上げてやろうというのがHyper-Threadingの基本的な考え方です。

4コアのCore i7ですと、Hyper-Threadingの働きによりOSからは8個のコアがあるように見えます。8コアあるように見えるからと言って、単純にシングルコアの8倍の性能にはなるわけではありませんが、このように空いている演算ユニットが有効に使われることにより、実際のコア数以上の性能が出ることもあるわけです。

Super Pi

こちらは有名な円周率の計算プログラムです。MacではBootcampを用いてWindowsを走らせて測定しました。 BootCamp上のWindowsの電源設定で「バランス」を選択しました。つまり最高のパフォーマンスが出るようには設定していません。この設定にすると負荷が低いアイドル時はCore i7のクロックは1GHz前後になります。そして負荷がかかるとTurbo Boostが効く事もあり3.1GHz前後まで上昇します。対して自作Windowsマシンの設定はパフォーマンス重視とし、クロックは3GHzに固定されます。つまり、MacBook Proが幾分かのハンデを負っている形になります。

測定結果はCore i7を搭載したMacBook Proが104万桁の円周率の計算にかかった時間が11秒と、すばらしい性能を発揮しました。ただし、Intel系のCPUはSuper Piで競合他社のCPUと比較してもかなり高いスコアを記録することが知られていますのでこのスコアだけを以て総合的な性能評価を行うことはできないでしょう。

余談ですが、私が初めてパソコンを自作した時のCPUがTualatinコアのCeleronの1.2GHzで、円周率104万桁の計算に2分以上かかっていましたので、クロックあたりの性能の向上はすさまじいものがあります。

自作プログラムによるベンチマーク

著名なベンチマークの他に、私が自作したプログラムによるCPUの性能測定を行ってみました。こちらもWindows上での測定になります。 このプログラムはI’m Jugglamp EXといって、当サイトでも配布しておりますパチスロの出玉シミュレーションを行うプログラムです。このプログラムには数千万~数億プレイのシミュレーションを一気に行う機能も搭載されており、実行には若干の時間がかかるので、今回はその機能を用いてそれぞれのマシンでの実行時間を計測し、CPUの性能測定を行ってみました。

なおこの機能はCPUの機能をフルに使うわけではなく、主に整数演算と条件分岐、メモリのランダムアクセスが使用されます。また、マルチスレッドには対応していないためシングルコアあたりの性能測定となります。今回は一億プレイのシミュレーションにかかった時間を測定しました。

結果を見ていただくとわかるとおり、Core i7を搭載したMacBook Proがぶっちぎりの結果を残しています。 このプログラムはシングルスレッドですので、おそらくは実行中にTurbo Boostが効いてCPUクロックが3GHz前後まで上昇したと思われますが、比較的クロック周波数が近いPhenom II X4 3.0GHzの実行結果と比較してもそれでもなおクロックあたりの性能は高いと言わざるを得ません。

発熱など

通常の使用ではボディのファンクションキーの上あたりが若干生ぬるいかな?という程度ですが、負荷をかけるとかなり発熱します。 アイドル状態ではCPU温度が60度前後でファンの回転数も2000回転/分でしたが、Cinebenchの実行中にはCPUの温度が100度を超えました。Ivy BridgeのTjMaxは105度だそうですので、これでもまだスペック的には安全なのでしょうけど耐久性の面ではどうなのかな?と少し心配になりました。

なお、ファンが低速回転している間は騒音についてはまったく気になりません。ただ、CPUが高温になってからファンの回転数が上昇するのにはタイムラグがあります。どうもシステム的にはバッテリーの持ちやファンの耐久性を考慮してできるだけ回転数を抑える戦略になっているように見えます。

GPUの自動切り替えについて

また、省エネルギー設定で「グラフィックスの自動切り替え」を有効にしていると、低負荷時には電力をより多く消費するGeForce GT 650Mの代わりに省電力なIntel HD Graphics 4000が使用されます。そしてOpenGLを使用したりGPUに負荷をかけるプログラムを実行すると高性能なGeForce GT 650Mに切り替わります。

この切り替わりはとてもスムーズで、一瞬マウスカーソルがちらつくだけです。ただしGeForce GT 650M使用時にはやはり本体がそれなりに発熱します。 私の環境では、iPhotoを起動したりSkypeでビデオ通話を開始した際にGeForce GT 650Mに切り替わりました。

しかし、Skypeでビデオ通話を終了させても元のIntel HD Graphics 4000には戻りませんでした。これを元に戻すにはいったんSkypeを終了させる必要がありました。AC電源で駆動する場合には気にならないでしょうが、バッテリー駆動の場合には注意をしないとバッテリーの消費速度がかなり早くなります。

そこで、パフォーマンスは二の次でいいから常に省電力なIntel HD Graphics 4000のみを使用したいという場合もあるでしょう。この場合残念ながら省エネルギー設定にはそのようなオプションはないのですが、gfxCardStatusというユーティリティを使用することにより使用するGPUを固定することができます。

なお、Intel HD Graphics 4000が使用されている場合にはMission ControlやアプリケーションExposéのフレームレートが若干下がるようですが、GeForce GT 650Mの場合にはかなりスムーズに動きます。

不満点など

今のところ性能面では全く不満がありません。しかしハードウェア面での不満があります。

一つはテンキーが標準装備されていない点です。私がメインで使用するアプリケーションはDigital Performerなのですが、このアプリケーションは主要な機能がテンキー操作に集約されていて、テンキー無しでははっきりいって作業効率がガタ落ちします。

もちろんキーのカスタマイズを行うこともできるのですが、私はかれこれ10年以上Digital Performerと付き合ってきた為、Digital Performerの操作は体で覚えてしまっています。従って今更キーのカスタマイズをしたとしてもそれを頭に再びたたき込むのには時間がかかります。しょうがないから今のところはiMacのキーボードをわざわざ繋いでDigital Performerを使っています。

もう一つは内蔵スピーカーの音量バランスについてです。 購入当初からiTunesなどの音楽を再生する際にどうしても右のスピーカーからの音が大きく感じました。しかし、これはMacBook Proの仕様のようなもので、本体右側にサブウーファーが配置されているためにどうしても右からの音が大きくなってしまうのとのことでした。しかし、サブウーファーというのは本来100Hz以下の指向性を感じなくなる音域の音を主に鳴らすためにあるのでは・・・?

不具合みたいなもの

これはハードウェアの不具合なのかソフトウェアの不具合なのかはわかりません。 しかし、以下の条件を満たすと再現します。

  1. OS Xのユーザーアカウントが2名以上存在する。(メインユーザ+ゲストアカウント有効でも可能。)
  2. 省エネルギー設定でグラフィックスの自動切り替えが無効になっている。

この状態でアカウントからログオフすると、ログオンスクリーンに点滅する灰色の四角が現れます。 ちょうどマウスカーソルがある位置に現れるようです。

最初はGPUの不具合でこのような現象が起きているのかと思いましたが、Apple Hardwar Testを実行しても異常は報告されず、画面共有を用いてリモートで操作しても同様の現象が発生しましたので、ソフトウェアの不具合の可能性も否めません。まだ購入して1ヶ月も経っていないため、時間のあるときにアップルのサポートにでも連絡を取ってみようと思います。

総合評価

若干の不具合がありましたが、性能には概ね満足していますし、クアッドコアを搭載したパソコンが高々2キログラムのボディに収まってそれを自由に持ち運びができるとは、すごい時代がきたものです。MacBook Proの購入を検討されている方で、性能を重視する方はクアッドコアCPUを搭載したモデルを是非ともおすすめします。重量が重いという難点はありますが、それ以上の価値はあると思います。

余談になりますが、私のはじめてのノートパソコンはPC-9801NS(中古)で、学生時代はMS-DOS上のMIDIプレイヤー(MIMPIという名前だったと思います)を走らせてライブで打ち込みを流したりしていました。

MDR-CD900STで確実に使える変換プラグを紹介します。


ソニーのヘッドフォン「MDR-CD900ST」は本来業務用として開発されたヘッドフォンですが、その音質の高さや解像度の高さからiPod等で音楽をより楽しむ目的でも利用する方が近頃増えています。

ところがiPodなどの機器で使用しようと思った時に、一番のボトルネックになるのはプラグの大きさの違いではないでしょうか。本来なら変換プラグを使えばそのような問題はすぐに解決するのですが、MDR-CD900STの場合はすこし厄介です。

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ご存じの通り、iPod等のポータブルオーディオプレイヤーを始め、我々の身の回りにはステレオミニプラグを搭載した製品が溢れています。対してMDR-CD900STは業務用故にケーブルの先には標準プラグしか付いておらず、また製品パッケージには変換プラグの類は一切付属しません。

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そこで、当然のことながらiPod等の機器でMDR-CD900STを使おうとする場合には変換プラグを別途購入する必要があるのですが、実はこれには鬼門があります。それは変換プラグとMDR-CD900STの相性です。

「MDR-CD900STの片方の音が聞こえません!!!」というトラブルの原因の多くは変換プラグの相性です。

不思議なことに、他のヘッドフォンでは何の問題もなく使える変換プラグが、MDR-CD900STでは上手く使えないことが多々あります。そして多くの場合、相性の悪い変換プラグを用いると片方の音が聞こえなくなります。通常、ステレオプラグをモノラルジャックに差すとこのような現象が起きることがありますが、「ステレオ→ステレオ」の変換プラグでもこの現象が起きてしまうのです。私はこれで実際に数本の変換プラグを無駄買いしてしまいました。

そこで、本記事ではMDR-CD900STで確実に使える変換プラグを紹介したいと思います。

ズバリMDR-CD900STで確実に使える変換プラグはVictorから出ているAP-233Aという製品(写真左)です。このほかに、iPod touchをケースに入れて使う場合には、CN-M30-Bという延長ケーブル(写真右)があるとなおベターです。

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なぜ延長ケーブルがあるとベターなのか

 私はiPod touchをケースに入れて使っていますが、ケースによってはジャック周辺に設けられた穴の口径が小さく、微妙に邪魔になってしまい変換プラグが奥まできっちりと刺さりません。そこで、変換プラグとは別にプラグの根本が細い延長ケーブルが必要になります。

変換プラグのみでは奥まで刺さらない。

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 というわけで、変換プラグと延長ケーブルを両方組み合わせて使うと下の写真のようにうまく収ります。(ケースは赤いやつから透明な物に変えました。すみません)

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私は普段はこの方法でiPodを利用しています。さすがに外にiPodを持って行って音楽を聴く場合には付属のイヤホンで我慢しておりますが・・・。

ただし、この方法にもデメリットがあり、変換プラグの本体が微妙に邪魔で持ち運ぶ際に結構鬱陶しいということです。そこでMDR-CD900STをiPodメインで使いたい場合には思い切ってプラグを取り替えるという手もあります。(MDR-CD900STは業務用なのでイヤーパッドからドライバーユニット、プラグに至るまで補修部品を自分で取り替えられるようになっており、中には標準プラグからステレオミニプラグに取り替えてしまう人もいるようです)

まとめ

iPodでMDR-CD900STを使うには若干手間がかかりますが、一度この音に慣れてしまうと他のヘッドフォンには行けなくなります。解像度の高さ故から聞きたくない音まで聞こえてきてしまうという欠点はありますが(その辺のレビューは以前書いた記事をご覧下さい)

ちなみに私は、MDR-CD900STではMP3やAACの音質劣化が目立ってしまって気になるので、お気に入りのCDはすべてApple Losslessでエンコードし直しました。(流石に容量の関係から全部のCDというわけにはいきませんでした)

OS X Lionで無理矢理XV Editorが動かせるか挑戦してみた。


 私は現在音楽製作とXcodeの勉強用にMacを所持しているのですが、2011年11月現在未だにOSはSnow Leopardです。

 というのも、私がローランドのXV-5050というシンセサイザの音色エディットに使っているXV EditorというプログラムがOS X Lionでは今現在サポートされていないため、アップグレードしたくでも出来ないのです。今回はこの動かないXV EditorをなんとかLionで動かせないかと試行錯誤してみた末の失敗記録です。

OS X LionでXV Editorが動作しないたった一つの理由

 ご存じの通り、OS X LionではRosettaが切り捨てられました。
Rosettaとは、Power PCコードで構成された従来のMac OS XアプリケーションをIntel CPU上で動作させるための機構なのですが、ローランドのXV EditorもPower PCコードで構成された古いアプリケーションの一つなのです。

 つまり、RosettaをサポートしないOS X Lionではどう頑張ってもXV Editorは動かせないのです。

古いOSを入れたくても入れられないのがMac

 実はMacには大きな罠があり、あるモデルにプリインストールされているOSよりも古いOSにはダウングレードできません。
例えばOS X Lionがインストールされて出荷されているMacに以前のバージョンのSnow Leopardをインストールしようとしても出来ません。無理矢理インストールしようとしても弾かれます。

 つまり私が将来的にMacを新調した場合、その時期に登場したOSより古い物はインストールできず、つまりはSnow Leopardもインストールできない、ということになります。

 ということは、動作にSnow Leopardが必要なXV Editorはこのままでは新しいMacでは動かせないと言うことになります。

ならば、無理矢理動かしてみよう。

 私の脳内の声:「Rosettaは廃止されたけど、エミュレータの選択肢は他にもあるよね。ほら、Windowsアプリを他プラットフォームで動かすWineとか」

 というわけで、何もMac用のXV EditorにこだわらなくてもWindows用があるじゃないか、と気づいたためさっそく検証開始です。

 ※私はOS X Lionを所持していないため、実際には「Rosettaが無い」という環境を想定してSnow Loopardで実験を行いました。

WineBottlerという選択肢

 WineBottlerとは、Wineをベースに設定や環境構築をより簡単にしたパッケージで、これを使うとWindows用のアプリケーションを一発でMac用のアプリケーションに変換できるという素晴らしいツールです。実際にWindows用のInternet Explorer等がまるでMacのアプリケーションであるかのように動きます。

 今回はこれを利用してWindows用のXV Editorを無理矢理Mac用に変換してみました。

左のアイコンがWineBottler、そして右のアイコンが実際にWindows用のXV EditorをMac用に変換してみたもの。

winebottler.png

動くことは動いたのだが

 早速WineBottlerを使ってMac用に変換したXV Editorを立ち上げてみます。

xveditor_launching.png

 ところが、起動してしばらくすると「XV-5050との接続を確認できない」とのエラーを告げるダイアログが表示されます。
このソフトはコンピュータとXV-5050の間でMIDIを使い双方向通信を行い、データの同期や機器の接続チェックなどを行っています。従ってXV-5050が接続されているにもかかわらずこのようなエラーが出ると言うことはMIDIの入出力がうまく働いていないということになります。

xveditor_error.png

 ちなみに、画面上の鍵盤をマウスでクリックするとXV-5050から音が出ましたので、どうやらMIDIの出力のほうは上手く動いているようです。

なぜBoot Campでは駄目なのか

 Wineを使ってうまく動かないのであれば、Boot CampでWindowsを動かしてその上でWindows用のXV Editorを動かす方法が一番確実かもしれません。

 しかし、シンセサイザの音色というのは、単体で鳴らした場合と実際に楽曲を流しながら鳴らした場合では同じ音色なのにずいぶんと違った聞こえ方をします。従って、私がいつもシンセサイザの音色を作る場合には同時にシーケンサーを立ち上げて実際に曲を再生しながら作っていきます。単体でエディタのみを走らせる、ということはめったにありません。そして、私が使っているシーケンサーはDigital Performer、これはWindows版が存在しません。つまりいくらBoot Campで確実にXV Editorが動くからといって私のケースでは残念ながら諦めるしかないのです。尤も、Mac用のDigital PerformerをWindows上で無理矢理動かす手段があれば別なのですが。

結局はRolandの対応待ち

 現在Rolandの公式サイトではMac OS X への対応状況というページに同社のハードウェアやソフトウェアのOS X Lionの対応状況が公開されています。わりと頻繁に更新されているようですが今のところXVに関する情報は全く掲載されていません。結局現在の所はRolandの対応を待つしか無いのかもしれません。ただ、XV-5050はかなり古い機器ですのでこのまま対応されずに終ってしまう可能性も否めません。

それでもすごいWineBottlerの可能性

 今回はXV Editorの使用には至りませんでしたが、それでもWineBottlerを使ってWindows用のアプリケーションがMac用に変換され、実際に動いてしまう様は見ていて感動しました。ひょっとしたらXV Editor意外にも有用な音楽用アプリケーションがMacで動作するかもしれませんし、今後いろいろ試してみる価値はありそうです。

 WineBottlerの入手先はこちら → https://winebottler.kronenberg.org/

CUBE GをDigital Performerで使う方法


 前々回のエントリで、iCON DIGITAL社のCUBE GがDigital Performerで不具合を起こして使えなかった事をお伝えしましたが、その後幾度かの試行錯誤を経てなんとか(不完全ではありますが)使えるようになったのでお伝えします。

単純にバッファサイズの設定を行うだけではダメだった

 CUBE GをDigital Performerでそのまま使うとブチブチというノイズが発生し、頻繁に音が途切れるなど、全く使い物にならなかったのは前々回お伝えした通りですが、この音の途切れはConfigure Hardware Driverからバッファサイズの設定を行うだけではまったく改善しないことが分かりました。

 そこでいくらか設定を見直したところ、普段は全くといっていいほど設定を変更しないWork Priorityという項目に注目。試しにHighからLowへと変更してみたところ、音の途切れは9割方改善しました。(それでも不規則にブチッという音の途切れは発声しますが、全く使い物にならないというレベルではなくなりました)

configurehardwaredriver.png

 では、このWork Priorityとは何者かと申しますと、MOTU Audio SystemにどれだけのCPUを割り振るか、の指定だそうです。デフォルトではHighにセットされておりますし、MOTUのオーディオインターフェース等ではデフォルトのままでも動作するそうですが、海外サイトをいろいろみて回った結果、一部の他メーカー製のオーディオインターフェースではドライバがCPUリソースを大量に使用する場合があり、この場合にはHighにセットしたままだとドライバにCPUリソースが割り当てられずに音切れを起こすそうです。つまりはこの設定をLowにすることにより、MOTU Audio Systemの優先度が下がり、逆にドライバにCPUリソースがより多く割り当てられる為安定して動作する、とのこと。

この状態でバッファサイズを小さくしてみると

 Work Priorityを変更することにより音の途切れは改善されたのですが、バッファサイズを小さくしなければレイテンシが大きく、ソフトシンセのリアルタイム入力には使えません

 そこで、バッファサイズをある程度小さくしてみます。ここでは2048から256まで変更してみます。
するとどうでしょうか。CPUの負荷の上昇率がひどく、これではソフトシンセどころではありません。

バッファサイズを2048から256に変更してみたところ。
CUBE GではCPU負荷が大幅に上昇した。

AudioPerformanceCubeG.png
 たしかにオーディオインターフェースの設定においてバッファサイズを小さくすると言うことはそれだけCPUに負荷をかけるということなのですが、この上がり方は異常です。
試しにiMacの内蔵オーディオインターフェースで同様にバッファサイズを256に設定してみると、この場合はCPU負荷はほとんど上がりません。

内蔵オーディオの場合にはバッファサイズを256まで下げてみても
それほどCPU負荷の上昇は見られなかった。

AudioPerformanceInternal.png

現段階ではソフトシンセのリアルタイム入力目当てでCUBE Gは使えない

 少なくともDigital Performerにおいてはこのような不具合がまだ残っている事から(ほかのDAWではわかりません)、CUBE Gをソフトシンセのリアルタイム入力で使うことは難しいと考えた方が良いかもしれません。
 しかし、どうもこの手のトラブルはハードウェアの不具合と言うよりはドライバの出来の問題である気がしなくもないため、ドライバのバージョンアップを待つというのも手です。

ドライバの出来は今の段階ではイマイチ

 最新のドライバは2011年5月9日現在、開発元のicon globalのwebサイトから(Mac用はバージョン1.29)入手できます。
 ところがこのドライバ、少々曲者で、Windowsマシンを使わないとMacにはインストールできません。
 ドライバのファイルはrarアーカイブで配布されています。もちろんこれをMacのStuffIt Expanderで解凍することはできますが、Macで解凍した場合に元々のディレクトリ構造が再現されず、インストールできません。

Macを使って配布されているドライバファイルを解凍すると、
このようにディレクトリ構造が正常に再現されない。

wrongdriverfiles.png
 最新ドライバをインストールするためには、このファイルをWindows上でいったん解凍してからMacに持ってくる必要があります。

Windows上でドライバファイルを解凍し、Macに持ってきたところ。
これで正常にインストールできる状態になった。

correctdriverfiles.png64ビットドライバは用意されている物の、現状では使えない

 また、icon globalのwebサイトにはsnow leopardの64ビットカーネル用のドライバも用意されていますが、これをインストールしても、64ビットカーネルではCUBE Gを認識しません。
従って、現段階では32ビットでしか利用できないと考えてください。

 また、ドライバをインストールすると一緒にインストールされる「Icon Control Panel」も、機能こそするものの、メニュー内に表示されるアプリケーション名は「Quit New Application」となっていることから、IDEで生成されるプロジェクトのひな形をそのまま使い、名称の変更を行っていない等、不完全な箇所があります。

ドライバの改良が求められる

 ドライバがきちんと改良されてCPU負荷がかからない仕様になれば非常にコストパフォーマンスが高いオーディオインターフェースとして使えるようになるでしょう。

 また、Icon Control Panelで設定した内容(monitor mixerのボリューム値等)は設定ファイルに保存されるようにしてほしいです。というのも、Macを起動する度、もしくはスリープから解除される度、またはCUBE GをUSBコネクタに接続する度にIcon control Panelで設定した内容がリセットされてしまい、毎度使用に先立ってソフトウェアモニタリングを手動で無効にしなおすのは非常に手間がかかるからです。

私の場合は、ソフトウェアモニタリングを無効にするため、
毎回この画面を開きツマミをすべてゼロにする作業を行う。
是非ともこの設定は保存されるようにしてほしいところ。

IconControl.png

  前々回のエントリで申し上げたとおり、音質は値段以上です。また本体のスペックは24bit/192KHzまでサポートしていますし、デザインもなかなか洒落ていて非常に良い、またこの価格帯で4 in 4 outをサポートする等、ほかのオーディオインターフェースとは一線を画していますから、是非とも今後のドライバの改良に期待します。

MDR-CD900STについて語ってみる


今日は、ソニーのスタジオモニターヘッドフォン、「MDR-CD900ST」について語ってみます。
テレビなどで歌手がヘッドフォンをつけながらマイクに向かって歌のレコーディングを行っているシーンを見た事があるかたも多いかと思います。そのときにほぼ例外なく歌手の頭に装着されているヘッドフォンがそれです。

「またまた、そんな高そうなヘッドフォンの話なんかしやがって。どうせウン十万もするプロ用だろ」と今思った方、なんとこのヘッドフォン、プロ用機器ですが15000円前後で売られているのです。

mdrcd900st.jpg

MDR-CD900STとの出会い

元々私は過去に通信カラオケの演奏データを制作する仕事をしていました。
良く多くの人が勘違いされるのが、「カラオケの音はCDからボーカルを抜き取った物だ」とか、「レコード会社からボーカル無しの音を提供してもらってそれを使っている」といった物がありますが、実は違います(2011年現在)。もちろん今の技術ではレコード会社からボーカル無しの音を提供してもらってそれを使う事も可能でしょう。しかしその場合にはカラオケメーカーはレコード会社に対し使用料を支払わなければなりません。

通信カラオケの機械から聞こえてくるあの音は実は「MIDI」で演奏されている音なのです。(一部生演奏を合成した物も登場していますが)
MIDIデータというのは、実際の音声データではなくいわゆる譜面データのようなもので、データの中には「この音階の音をこれぐらいの強さで発声せよ」とか「音量をあげろ」とか「ピアノの音色に切り替えろ」といった命令が並んでおり、これに時間情報を伴わせ、それに従ってシンセサイザなどの機器に情報を次々と送り出すことにより音楽を演奏する、ということを行っています。

さて、そのカラオケ用のMIDIデータでありますが、実は「カラオケ職人」と呼ばれるその手の職人により1曲1曲、手作業で制作されています。今現在の技術では、たとえばCDなどの音楽をMIDIデータに完璧に変換する事は不可能で、職人たちはいわゆる「耳コピ」という技術と「打ち込み」という技術を駆使して、発注を受けた曲をMIDIデータとして作り直しているわけです。

私も過去10年ほどその仕事をしていました。発注があると事務所から電話が入り「今からMP3を送りますので○月○日までに制作をお願いします」というような事を言われます。そしてここからが地獄の耳コピ作業が始まるわけです。

その耳コピ作業ですが、元々の曲をできるだけ忠実にMIDIで再現するためには元の曲が良く聞こえる環境で作業をする必要があります。なぜならばどんなに些細な音でも聞き逃してはならないからで、もし完璧に耳コピができていないのならばリテイク(やりなおし)を命じられます。当然、できるだけ音の良いオーディオインターフェースに音の良いアンプをつなぎ、音の良いヘッドフォンやスピーカー、という事になるわけですが、私はこの仕事を始めてから数年の間は家電量販店で売られている1万円前後のヘッドフォンを使っていました。

もちろんそのヘッドフォンで十分だと思っていましたし、仕事も問題なくこなせていたのですが、ある時お世話になっていた検収の方から「MDR-CD900STというヘッドフォンは音が非常に良く聞こえて耳コピでとても役に立ちますから是非手に入れてください」との序言をいただいたのをきっかけに、ヘッドフォンの買い換えを検討するようになりました。

同時に、当時私と同じ仕事をしていた仕事仲間の方が実際にMDR-CD900STをもってきて音を聴かせてくれる機会があり、初めてその音を聴くことになったのですが、私はその音を聴いて非常に衝撃を受けたのを今でもはっきりと覚えています。

「なんだこの生々しい音は!」

というのが、第一印象でした。
確か、一番初めに聴いた曲が女性ボーカルのバラードだったと思うのですが、息が声帯を通ってくる音、ドラムのゴーストノートまで、クッキリ、ハッキリと聞こえてくるわけです。これにはさすがに腰を抜かしました。

次に聴いた曲が某ビジュアル系バンドのわりと激しい曲だったと思うのですが、このときもいろんな音に埋もれて聞こえづらいギターの音が手に取るようにはっきりとわかったのです。

「これは買うしかない」

こうして私はMDR-CD900STの虜になってしまい、「これから一生使い続けるであろうヘッドフォンはMDR-CD900ST以外にあり得ない」、となってしまったわけです。

前置きがとても長くなってしまいましたが、これが私のMDR-CD900STとの初めての出会いです。

パッケージ

家電量販店で売られているヘッドフォンは派手なデザインのパッケージに梱包されていることが多いですが、MDR-CD900STのパッケージは違います。シンプルな白い箱です。箱のどこを見渡しても「迫力の重低音!」、「抜群の臨場感!」などといったうさんくさい宣伝文句は見あたらない事からもメーカーの自信がうかがえます。また、プラグも金メッキプラグのような洒落た物ではありません。

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デザイン

はっきり言ってしまえば、このヘッドフォンは完璧に業務用で、オシャレなデザインではありません。しかし、このヘッドフォンが必要になるシーンは主に屋内ですし、実際に装着してしまえば見た目なんてわかりませんからこれで十分です。また、業務用なだけあって、右と左との区別にはLとRのプリントのほかに赤と青で目立つように色分けされています。

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頑丈さ

業務用のヘッドフォンですから、頑丈さも求められます。このヘッドフォンは強度が必要な箇所には金属製の部品が使われています。もちろん足でわざと踏んだり、蹴飛ばしたりしたら壊れるでしょう。しかし、普通に使う分には多少雑な扱いをしても大丈夫なようにできています。

このように金属製の部品で作られている箇所がある。

900ST-MetalParts.jpg

ネジ止めされていてしっかりとした作りになっている。
「MADE IN JAPAN」というのもポイントが高い。

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プラグの根本には断線防止のためのバネがついていて、
ケーブルの耐久性が高められている。

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音質

商品カテゴリにも「モニターヘッドフォン」とあるように、このヘッドフォンはリスニング用というよりはモニター用として設計されています。では、「モニター」とは一体何なのか。かなり大雑把な言い方をしてしまうと「音の粗探し」ということです。

個性が無い事が個性だ

普通にリスニング用として家電量販店などで販売されているヘッドフォンはかなり音に味付けがされており、メーカーやモデルによって様々な個性があります。中でも重低音がより出るような設計がされていたり、逆にハイサンプリングレートの音楽ソースの観賞用に超高域の再生に優れているということを宣伝文句としているヘッドフォンがあります。ところがこのヘッドフォンにはそのような宣伝文句は一切ついていません。あくまで機器からでてきた信号がそのまま再生されます。言い換えれば「個性のない音」です。しかしそれがこのヘッドフォンの個性であるのです。

音楽を制作する場合、音の粗探し、つまりは聴いておかしい箇所やわずかな雑音でさえしっかりととらえる必要があります。そのような場面ではもはやヘッドフォン独自の味付けは不要なわけです。

悪い音はちゃんと悪く聞こえるというのは重要である

また、家電量販店で販売されているヘッドフォンは音があまり良くない音源ソースでもかろうじて良い音で聞こえるように味付けされていますが、このヘッドフォンはそういう味付けは一切されておらず、悪い音ははっきりと悪い音として聞こえます。もちろん逆も然り。ですから悪い音源ソースを再生して「なんだこのヘッドフォンちっとも音が良く無いじゃないか!」と言うのは早とちりです。

たとえば一般にMP3やYouTubeにアップロードされている音源は無圧縮音源に比べて音が悪いと言われます。これをほかのヘッドフォンで再生してみると、MP3の音の悪さがヘッドフォンによりうまくごまかされてそこそこ聴ける音になります。ところがMDR-CD900STでは音が悪いMP3はそのまま音が悪いMP3として聞えます。

これは音が悪いオーディオ機器にも言えることで、ほかのヘッドフォンではそもそもオーディオ機器から発せられるノイズが聞えないことがあるのに対し、MDR-CD900STでは機器から発せられるノイズがきちんと聞えます。

迫力の重低音は出ません。

よくヘッドフォンの宣伝文句として耳にするのが「重低音」。
ところがこのヘッドフォンは一般のヘッドフォンと比べて重低音は出ません。しかし、いわゆる「締まった低音」が出るため、低音が濁ることなく聞えてきますし、ストレスを感じる事はありません。

リスニング用途には向かないと言われていますが

このヘッドフォンは音楽を制作する現場の人用で、聴く人には向いていないという意見を耳にします。ある意味正しいでしょう。というのも、解像度、情報量の多さからありとあらゆる音が耳に飛び込んでくるため、慣れていないと聴き疲れしてしまうということもあるでしょうし、最初は低音の物足りなさを感じるかもしれません。

実際にネットを見ているとこのヘッドフォンで音楽を30分も聴いていると苦痛を感じる、という方もいらっしゃるようです。

では音楽鑑賞に全く使えないかというと、そんなことはありません。実際私はこのヘッドフォンをiPodでも使用していますし、それで実際に音楽を楽しんでいます。また、解像度や情報量の多さから、新譜を聴く度、また古い音楽を聴き直す度に新たな発見もあります。むしろ、このヘッドフォンに慣れてしまうとほかのヘッドフォンに行けなくなります・・・。

明らかにこのヘッドフォンで聴いて心地よいと感じた楽器

  • エレキベース・・・ベースは低音楽器ですが、実は倍音を多く含んでおり高音も沢山出ています。このヘッドフォンの場合倍音もふくめてきっちりと出てきますのでかなり厚みのあるベースの音が聞けます。
  • ドラム・・・抜けがよいスネアやキックの音をこのヘッドフォンで聴くと非常に心地よいです。音源によってはドラムを収録する際の部屋鳴りまでしっかり聞えます。
  • アコースティックギター・・・生々しいです。ボディの内部での共鳴、プレイヤーの指使いまでしっかり聞えます。
  • 女性ボーカル・・・これも生々しいです。息づかいがはっきりと聞えるのはもちろんのこと、耳元で歌っている感じがします。

語学の学習にも最適

実は解像度の高い事のメリットはほかにもあります。
それは語学の学習において、ネイティブスピーカーの発音がはっきり、しっかりと聞えてくるということです。実は私は7年ほど前から英会話の学習をしており、教材としてPodcastや外国の映画などを利用していますが、もちろんMDR-CD900STを利用しています。

MDR-CD900ST未体験の知人K氏にこれで音を聴かせてみた時の反応

K氏は、普段はiPodに付属のイヤフォンは使わずにわりと高めのカナル型イヤフォンを使っています。

私「iPodにおすすめのヘッドフォンがあるんだけど聴いてみる?」

K氏「おお、これか。なんかゴツイね」

私「じゃあ、聴いてて。ポチ(とりあえず適当な曲を再生)」

K氏「おお・・・・おおっ?・・・・・おおおおおお! すげー!!」

購入に関しての注意

MDR-CD900STには標準プラグしか付属しません。
iPodなどでこのヘッドフォンを使用する場合にはミニプラグから標準プラグへ変換するためのアダプターを購入する必要があります。その際、iPodケースなどを使用している方は先が細いアダプターを使わないとプラグがiPodの奥までしっかりと刺さらないことがあるので注意してください。

 

iPodケースによってはこのように根本まで刺さらない事がある。
当然正常に再生されない。先が細いアダプターを入手する必要がある。

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また、購入直後で新品の状態では予想以上に低音と高音が出なくて耳がつまったような音がします。しかしエージングすることにより徐々に出るようになってきますので、購入直後に「なんだこれは~~!!!(怒)」といって窓から投げ捨てないでください。

総評

まず、音楽を制作される方や楽器を演奏される方には間違いなくお勧めです。
値段は15000円前後ですが、それ以上の価値があります。また、語学の学習をしている方にもお勧めです。音楽鑑賞に関しては、人によりさまざまな意見があるため、私はここではハッキリとは「お勧めです」とは言いません。
しかし私自身はこのヘッドフォンで音楽鑑賞をバリバリ楽しんでいますし、iTunes Music Storeで新譜を買う頻度も明らかに増えたことをお伝えしておきます。

サウンドハウスから水が届きました。


 えー、世界最安および国内最安を謳う音響機器販売店、サウンドハウスから注文した水が届きました。(詳しくは一つ前のエントリ「サウンドハウスで水が売られている件について」を参考の事)

DSCF7584.jpg

 大きな箱に入って届くのかと思いきや、見た目の通り軟弱そうなビニールに包まれたまま到着・・・。

 味の方は、何の変哲もないミネラルウォーターで、軟水なので本当に何の変哲もありません。早速この水を猫の飲料水として使います。あ、もちろん私も飲みますよ。

 そして他にも注文していた物がありまして、そちらも届きました。

DSCF7591.jpg

 こちらは変態的な価格で次々とパ○リ機材リリースし続けるベリンガーの新作ギターアンプシミュレータ、「V-AMP3」、そして箱の上に見える小さな箱に入ってるのは、TUBE-MPの真空管を交換しようと思って注文したものです。

 これらのレビューはまた後の記事にて!

サウンドハウスで水が売られている件について


音楽制作者の間ではお馴染み、プロ用音響機器が安く買えると評判のサウンドハウスですが、なんとそのサウンドハウスにてなぜか水が売られています。

mizu.png

最初私はてっきり音響機器の冷却水か何かだと思ったのですが物は試しにページを開いてみると、れっきとした飲料水でした。

https://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=1919^AQ500-24

water.png

ページの説明によりますと、

“Aquaville(アクアヴィル)”は、カリフォルニア生まれの最高品質のナチュラルウォーターです。
カリフォルニア州オンタリオの井戸から湧き出る美味しい水を、米国市場において45年の歴史を持つボトリング工場でパッケージしました。そのボトルを工場からダイレクトにお届けすることにより、衝撃的な価格を実現しました。

1箱 500ml×24本入り

原材料名:水(深井戸水)
内容量:500ml
採水地:カリフォルニア
硬度:1未満(軟水)
賞味期限:製造日から2年間(未開封、冷暗所保管)
原産国:アメリカ合衆国
輸入者:フィットネスハウス株式会社

とのことで、24本入りで860円。
一本当たりおよそ36円。しかも軟水ですから緑茶やカップラーメンにもよく合います。

 実は私、水道水は一切飲まず普段の飲料水はミネラルウォーターと緑茶なのですが、24本入りで860円ですからなかなかお買い得ではないでしょうか。ということで早速注文してみようと思います。