ICON DIGITAL社のCUBE Gの不具合について


G4からIntel iMacにDAW環境を移行するにあたって、3月11日の地震が発生する直前にサウンドハウスにオーディオインターフェースを発注しました。G4では PCIスロットにオーディオインターフェースを挿して使用していたのですがiMacにはPCIスロットがありませんのでUSBかFireWireのオーディオインターフェースを用意する必要があります。そこでいくつかの製品の中から私の条件に合う中で安価でコストパフォーマンスが高い物を選び発注しました。

そしてこれが今回発注したiCON DIGITAL社のCUBE Gです。Mac miniに似たデザインですが、実際にはMac miniよりも一回りほどサイズが小さく、本体上部の白い通電ランプがなかなかイカすデザインであります。

CubeG_Top.jpgCubeG_Front.jpg

私の制作環境で必要最低限の条件が、

  • 24ビット/96KHzで録音・再生が行える。
  • アナログ4入力、もしくはアナログ2入力+S/PDIFを1入力備えている。

ですので、この条件を満たすオーディオインターフェースでなるべく安価な物を検討し、その結果iCON DIGITAL社製のCUBE Gを購入したのですが、このインターフェース、ただの音楽鑑賞には使えますし、音質も値段以上なのですが、DAWに使用しようとするとブチブチと音切れを起こし、使い物になりませんでした。

具体的には、

  1. Digital Performerで24bit/48KHzとか、24bit/96KHzなどでプロジェクトを作成する
  2. モノラルトラックを作成し、ギターを録音する
  3. Live Room Gでキャビネットをシミュレートする。
  4. ProVerbでリバーブをかける

たったこれだけで、不規則に「プチ・プチ」という音の途切れが発生し、さらに同様のトラックを5本も作れば、「ブチブチブチブチ」とすさまじい音切れを起こして実際の音楽制作にはまったく使い物にならなくなるという状況です。サンプリングレートを減らしてみたりバッファサイズを大きくしてみても改善しません。(むしろバッファサイズを大きくすることによりもっと不安定になることもある)

 

実際に不具合が発生するプロジェクト。バッファサイズは2048サンプルと大きめ。
トラックの本数は画面に表示されている分だけで、CPU負荷も高くない。

trouble_project.png

実際の音楽制作ではもっとたくさんのトラックを使いますし、プラグインももっとかけます。
これだけで音切れが発生するということは、DAW目的には全くといっていいほど使えないという事です。

確かにUSBオーディオインターフェースはCPUに負荷がかかると不安定になるという話は聞きますが、今回の場合、ほとんど負荷はかかっていません。また、オーディオインターフェースをBEHRINGERのUCA222(V-AMP3を購入したときのおまけについてきたもの)に変更してみますといくら負荷をかけようがバッファサイズを小さくしようが安定して動作することから、やはりこれはCUBE G自体の問題である可能性が高いです。

Digital Performer以外のソフトではどうか、と試しにGarage Bandで使ってみました。すると、ソフトシンセで手弾きをした際に微妙なタイミングで「プチ、プチ」と音が途切れることがあります(泣)

では・・・MacではなくWindowsではどうか、ということでWindowsマシンに接続してギターを適当に弾いて録音してみたところ、録音の段階で微妙に音を取りこぼしている感じです(涙)

そこで、サウンドハウスのサポートにダメ元で連絡を取ってみました。実はこの製品を受け取ったのは地震発生数十分前、箱を開封する前に地震が来てしまったため、1週間以上動作確認どころか中身を確認することすらできませんでした。通常なら返品期間も過ぎている筈なのですがサウンドハウスのサポートの人は親身になってサポートしてくださいました。

とりあえずは一度日本での販売代理店であるフックアップと連絡を取ってみるように言われたため、現在フックアップと交渉している段階です。

音質は値段以上に素晴らしい

では、不具合が発生したからこの製品はまったくだめなのかというとそうではありません。

iTunes で音楽を再生する分にはまったく不具合が発生しません。また、本体にモニター用のヘッドフォン端子が装備されているため、音質劣化の原因となる外部のアンプなどを通さずに直接ヘッドフォンでモニターできます。この状態でiTunesで音楽を鑑賞するとこの製品の良さが分かります。

Macの内蔵オーディオで聴く音楽はヘッドフォンに楽器がへばりついているような平べったい印象を受けるのに対し、このCUBE Gで聴くときちんと奥行きが再現されるのです。

ただし、値段相応に削られている機能もある。

ダイレクトモニタリングができない

まず、ダイレクトモニタリングができません。ソフトウェアモニタリングのみです。

たとえば、入力端子にギターを接続し演奏したとします。そうするとその信号はいったんコンピュータに取り込まれてなんらかの処理をされてから再びオーディオインターフェースに戻ってきて、やっとモニタできる状態になるのです。つまり入力から出力までの遅れがあります。そして、なぜかバッファサイズをいくら小さくしても改善しません。(他のオーディオインターフェースならバッファサイズを小さくすると負荷が上昇する物の実用レベルまで改善します)

従って、ダイレクトモニタリングをしたい場合にはミキサーを別途用意し、ソフトウェアモニタリングをOFFにした上で、ミキサーでモニターしつつ、AUX SENDなどで録音したい信号をオーディオインターフェースに送ってやるという処置が必要です。

しかし、この製品をUSBポートに接続したり、Macがスリープから復帰した場合、問答無用でソフトウェアモニタリングが毎回有効になってしまいます。ですから、普段からミキサーでモニターをしている方は毎回音楽制作の開始に先立って、手動で「iCON Control Panel」なるものを開き、ソフトウェアモニタリングを切ってやらなければなりません。

Icon Control Panel
私の場合はこれを毎回音楽制作に先立ち起動して
ソフトウェアモニタリングを無効にする必要がある。

iconcpl.png

本体からUSBケーブルに放出されるノイズがハンパない

この製品の動作中は、Macの内蔵オーディオにすさまじいノイズが混入します。
CUBE Gで発生したノイズがUSBケーブルを伝ってMacに戻り、Macのオーディオアウトから出てくるという感じです。まるで嫌がらせかなにかのように・・・。

製品自体はとても素晴らしいので

しかしながら冒頭で申し上げた不具合が発生しなければまったくもって素晴らしくコストパフォーマンスが高い製品であるため、フックアップ社のサポートと交渉しつつ不具合が解消された場合には改めてレビューをさせていただきます。

同様の不具合を抱えている方のコメントをお待ちしております。

iMac+Digital Performerでこの製品を現役で使用されている方で、「俺も不具合が発生した!」という方、もしくは「俺は全然平気で使えているぜ!」なんて方からのコメントもお待ちしております。私は本気で困っています・・・。