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Digital Performer 7のあまりにも重すぎるイベントリストを軽くする方法。


久しぶりのブログ更新になります。

Digital Performer 8が発表になりました。64ビット対応になり大量のメモリが使えるようになったり、プログラムがCocoaで書き直されてキビキビと動作するようになりました、というのが公式の発表のようですが、海外のフォーラムでは動作が重すぎるとか言われているようですね。私も64ビット化したことで大量のサンプルデータをプロセスメモリに読み込める事を期待したのですが、しばらくはアップグレードせずにDigital Performer 7のままで様子を見てみることにしました。

さて、そのDigital Performer 7なんですが、OSをMountain Lionにアップグレードしてから気がついたことがあります。

それは、イベントリストがめちゃくちゃ重いという事です。Snow Leopardで使っていた時にはイベントリストの編集に全くと言ってストレスを感じなかったのですが、なぜかMountain Lionでは実用に耐えないほど動作が重いのです。CPUはCore i7 2.3GHzです。イベントリストの処理如きで困るような性能ではありません。

具体的には、以下のような現象が発生します。

  • イベントリスト上の数値などを編集しようとして、数値をダブルクリックしてから編集可能になるまでに相当待たされる。
  • イベントリストのスクロールがマウスホイールやスクロールバーの動きに追随できないほど重い。(トラックパッドの2本指スクロールもまた然り)

さらに、私はイベントリストを頻繁に使います。基本的には鍵盤でラフに弾いたあとクオンタイズなりをかけてピアノロール上で大まかに編集した後、イベントリストでさらに細かく編集する、というのが私の作業の流れです。ですからイベントリストが重いとなると、これは作業に支障を来すと言わざるを得ないわけです。

ところが、そのまま作業を続けるといつのまにかイベントリストが通常の軽さに戻っていることがあるのです。

おそらくはSnow Leopard上では現れなかった何らかのバグがMountain Lionでは現れることによってこのように重くなってしまっているのでは、と予想しましたが、肝心の「いつのまにか軽くなる」条件がわからずにいました。

しかしながら今回、偶然Digital Performerをいじくっていてその解決方法を発見しました。残念ながらこの方法も確実ではなく成功率は8割程度なのですがそれでも便利ですので方法を紹介します。

手順

1.画面に開いているウィンドウがトラックオーバービューだけの状態にする。

余計なウィンドウが開いていると成功確率が下がるようです。そこで、ショートカットウィンドウやツールウィンドウも含め、他の余計なウィンドウを閉じて画面に表示されているウィンドウがトラックオーバービューだけの状態にしてやります。

 

2.適当なトラックのシーケンス上でOptionキーを押しながらダブルクリックし、イベントリストを開く。

この状態ではまだイベントリストは重いままです。イベントリストを開いたら、イベントリスト上の適当な箇所をクリックしてウィンドウまたはタブ(コンソリデイトウィンドウの場合)をアクティブにします。

 

3.今開いたトラックのトラック名をトラックリスト上でOption+クリックし、トラック名の変更が可能な状態にする。

トラック名を示すテキストがハイライトされ、選択状態になります。

 

4.カーソルキーの右を押し、トラック名のテキストの選択が解除された状態でリターンキーを押して確定。

この状態でカーソルキーの右を押すと選択状態が解除され、代わりにカーソルが点滅表示になります。この状態でリターンキーを押して確定します。

 

上記の手順で8割ぐらいの確率でイベントリストが元の軽さに戻ります。
戻らないときにはウィンドウを閉じてから開いてみたり、何度もトラック名の編集を行ったりすると成功することが多いようです。

さらにイベントリストを軽くする方法

Digital Performerのイベントリストには、イベントの位置を[小節|拍|Ticks]の形式だけではなく実時間で表示する機能も備わっています。しかしこの機能を有効にしていると若干ではありますがイベントリストが重くなります。そこでこの機能が不要な場合には切ってやりましょう。

この機能を無効にするにはSetupメニューからTime Formatsを選択します。

 

すると下の図のようなダイアログが現れますから、「Event Information」グループ内にある「Real time」のチェックを外してやります。

 

これでイベントリストには実時間が表示されなくなり動作が軽くなります。

 

CUBE GをDigital Performerで使う方法


 前々回のエントリで、iCON DIGITAL社のCUBE GがDigital Performerで不具合を起こして使えなかった事をお伝えしましたが、その後幾度かの試行錯誤を経てなんとか(不完全ではありますが)使えるようになったのでお伝えします。

単純にバッファサイズの設定を行うだけではダメだった

 CUBE GをDigital Performerでそのまま使うとブチブチというノイズが発生し、頻繁に音が途切れるなど、全く使い物にならなかったのは前々回お伝えした通りですが、この音の途切れはConfigure Hardware Driverからバッファサイズの設定を行うだけではまったく改善しないことが分かりました。

 そこでいくらか設定を見直したところ、普段は全くといっていいほど設定を変更しないWork Priorityという項目に注目。試しにHighからLowへと変更してみたところ、音の途切れは9割方改善しました。(それでも不規則にブチッという音の途切れは発声しますが、全く使い物にならないというレベルではなくなりました)

configurehardwaredriver.png

 では、このWork Priorityとは何者かと申しますと、MOTU Audio SystemにどれだけのCPUを割り振るか、の指定だそうです。デフォルトではHighにセットされておりますし、MOTUのオーディオインターフェース等ではデフォルトのままでも動作するそうですが、海外サイトをいろいろみて回った結果、一部の他メーカー製のオーディオインターフェースではドライバがCPUリソースを大量に使用する場合があり、この場合にはHighにセットしたままだとドライバにCPUリソースが割り当てられずに音切れを起こすそうです。つまりはこの設定をLowにすることにより、MOTU Audio Systemの優先度が下がり、逆にドライバにCPUリソースがより多く割り当てられる為安定して動作する、とのこと。

この状態でバッファサイズを小さくしてみると

 Work Priorityを変更することにより音の途切れは改善されたのですが、バッファサイズを小さくしなければレイテンシが大きく、ソフトシンセのリアルタイム入力には使えません

 そこで、バッファサイズをある程度小さくしてみます。ここでは2048から256まで変更してみます。
するとどうでしょうか。CPUの負荷の上昇率がひどく、これではソフトシンセどころではありません。

バッファサイズを2048から256に変更してみたところ。
CUBE GではCPU負荷が大幅に上昇した。

AudioPerformanceCubeG.png
 たしかにオーディオインターフェースの設定においてバッファサイズを小さくすると言うことはそれだけCPUに負荷をかけるということなのですが、この上がり方は異常です。
試しにiMacの内蔵オーディオインターフェースで同様にバッファサイズを256に設定してみると、この場合はCPU負荷はほとんど上がりません。

内蔵オーディオの場合にはバッファサイズを256まで下げてみても
それほどCPU負荷の上昇は見られなかった。

AudioPerformanceInternal.png

現段階ではソフトシンセのリアルタイム入力目当てでCUBE Gは使えない

 少なくともDigital Performerにおいてはこのような不具合がまだ残っている事から(ほかのDAWではわかりません)、CUBE Gをソフトシンセのリアルタイム入力で使うことは難しいと考えた方が良いかもしれません。
 しかし、どうもこの手のトラブルはハードウェアの不具合と言うよりはドライバの出来の問題である気がしなくもないため、ドライバのバージョンアップを待つというのも手です。

ドライバの出来は今の段階ではイマイチ

 最新のドライバは2011年5月9日現在、開発元のicon globalのwebサイトから(Mac用はバージョン1.29)入手できます。
 ところがこのドライバ、少々曲者で、Windowsマシンを使わないとMacにはインストールできません。
 ドライバのファイルはrarアーカイブで配布されています。もちろんこれをMacのStuffIt Expanderで解凍することはできますが、Macで解凍した場合に元々のディレクトリ構造が再現されず、インストールできません。

Macを使って配布されているドライバファイルを解凍すると、
このようにディレクトリ構造が正常に再現されない。

wrongdriverfiles.png
 最新ドライバをインストールするためには、このファイルをWindows上でいったん解凍してからMacに持ってくる必要があります。

Windows上でドライバファイルを解凍し、Macに持ってきたところ。
これで正常にインストールできる状態になった。

correctdriverfiles.png64ビットドライバは用意されている物の、現状では使えない

 また、icon globalのwebサイトにはsnow leopardの64ビットカーネル用のドライバも用意されていますが、これをインストールしても、64ビットカーネルではCUBE Gを認識しません。
従って、現段階では32ビットでしか利用できないと考えてください。

 また、ドライバをインストールすると一緒にインストールされる「Icon Control Panel」も、機能こそするものの、メニュー内に表示されるアプリケーション名は「Quit New Application」となっていることから、IDEで生成されるプロジェクトのひな形をそのまま使い、名称の変更を行っていない等、不完全な箇所があります。

ドライバの改良が求められる

 ドライバがきちんと改良されてCPU負荷がかからない仕様になれば非常にコストパフォーマンスが高いオーディオインターフェースとして使えるようになるでしょう。

 また、Icon Control Panelで設定した内容(monitor mixerのボリューム値等)は設定ファイルに保存されるようにしてほしいです。というのも、Macを起動する度、もしくはスリープから解除される度、またはCUBE GをUSBコネクタに接続する度にIcon control Panelで設定した内容がリセットされてしまい、毎度使用に先立ってソフトウェアモニタリングを手動で無効にしなおすのは非常に手間がかかるからです。

私の場合は、ソフトウェアモニタリングを無効にするため、
毎回この画面を開きツマミをすべてゼロにする作業を行う。
是非ともこの設定は保存されるようにしてほしいところ。

IconControl.png

  前々回のエントリで申し上げたとおり、音質は値段以上です。また本体のスペックは24bit/192KHzまでサポートしていますし、デザインもなかなか洒落ていて非常に良い、またこの価格帯で4 in 4 outをサポートする等、ほかのオーディオインターフェースとは一線を画していますから、是非とも今後のドライバの改良に期待します。