マザーボード修理 ~DELL Dimension 4500c(3台目)~


 今回のご依頼はこれまたお馴染みの機種、DELLのDimension 4500cになります。これで3台目です。
が、今回はいつもよりコンデンサの交換本数が多い上、一筋縄ではいきませんでした。

 依頼者様によりますと「2002年購入のDELL4500Cの立ち上がりが著しく悪くなり、中を開けたところ10数本のコンデンサが液漏れしているのを発見し、メールさせていただきました。」とのことでご依頼を頂きました。

 最近になって気づいたのですが私のところへご依頼を頂くDELLの機種は圧倒的に2002年~2003年発売の機種が多く、最初は当時問題になった電解液の過剰注入による不良コンデンサ問題が原因であると思っていたのですが、どうやらそれだけではないようです。

 この問題は主にニチコンの「HN」で起こっているのに対し、私のところへ送られてくるマザーボードはコンデンサのグレード問わず膨張や液漏れを起こしている為、単に不良コンデンサ問題だけが原因であるとは言いづらく、2002年という発売時期からみてもやはりコンデンサの寿命による物も大きいのではないか、というのが最近の私の意見です。

 さて、今回の場合、過去に修理した同機種と比較して今回はコンデンサの交換本数が19本と多く、さらに液漏れの度合いも重傷でした。次に、コンデンサをすべて交換したもの、不安定な起動はマザーボードのコンデンサ以外からも引き起こされていました。

交換するコンデンサは以下の19ヶ所になります。

赤 6.3V 2200μF 10φ 緑 16V 1800μF 10φ
青 6.3V 1800μF 8φ 紫 6.3V 820μF 8φ

IMG_3799.jpg

 やはり、CPU周辺のコンデンサは大きなリップル電流が流れ負荷がかかるためか、派手な液漏れを起こしています。
さらによく見てみますと背が若干高いコンデンサ2本(LITEONと書かれた基板のすぐ横にある2本)のコンデンサも微妙に膨張を起こしています。いままで依頼を受けたこの機種ではこの部位のコンデンサが膨らんでいるのは見たことがありませんでした。
IMG_3801.jpg

さらに、今まで修理を引き受けたDimension 4500cでは見られなかった箇所。ここのコンデンサからも液漏れが。
IMG_3802.jpg

チップセットとメモリスロットの間の細いコンデンサも膨らんでいます。

IMG_3803.jpg

DELLの機種では高確率でCPUスロットとメモリスロットの間にある2本のコンデンサ。やはりここも。

IMG_3804.jpg

交換に使用するコンデンサ

すべてサンヨー(現SUNCON)のWGシリーズです。ESRや最大リップル電流等はニチコンのHMとほぼ同等です。
今まではニチコンのHMやルビコンのMCZ等を場所によって使い分けていましたが、サンヨーブランドのコンデンサが品質的にも評判がとても良い事、また、従来よりもコンデンサを安価に入手できるルートを確保できた事から、例外が無い限りサンヨーのコンデンサを用いることにしました。

IMG_3808.jpg

 まずは液漏れがかなりひどかったCPU周辺のピカピカのサンヨーコンデンサに換装。
やっぱりいつ見ても新品コンデンサの輝きは良いなぁ・・・。

IMG_3811.jpg

メモリスロット付近のコンデンサも、液漏れしていない部位も含めて新品に交換。

IMG_3812.jpg

IMG_3813.jpg

IMG_3814.jpg

さて、すべてのコンデンサの交換が完了し、再び組み立てた後動作確認を行ったのですが・・・。
・・・電源は入る物のBIOS画面が出てこない。

・・・しばらく待って再び電源を入れてみると・・・BIOS画面が出た後、Windowsの起動途中でブルースクリーンが!

 後に、本体がある程度暖まると起動に成功するが、部屋が寒いと全く起動しないという事実に気づきました。
「これは、電源のコンデンサも死んでいるかも」

 早速依頼者様に改めて連絡を取り、追加で電源ユニットの発注を行って交換しても良いかどうかを問い合わせたところ快くOKサインがでましたので、早速電源ユニットを取り寄せ交換を行いました。

 ちなみにこの画像は取り外した古い電源ユニットになります。

IMG_4149.jpg

電源ユニットを換装し、改めて電源をON。
・・・なんと一発で起動しやがりました。念のため部屋の温度が氷点下を下回る深夜に再びテストを行いましたがバッチリ合格。

IMG_3824.jpg

 続いて、Windowsの起動テスト。
なんと電源ボックス換装前よりも起動時間がかなり早くなりました。実は以前他のパソコンのコンデンサを交換した際に、依頼者様から「Windowsの起動がかなり早くなった」とのご報告を頂いたことがあるのですが、その時は「でもなんでコンデンサを替えたぐらいでWindowsの起動が早くなるのだろう・・・」と半信半疑でしたが、実際に目の当たりにすると驚きを隠し得ません。

IMG_3818.jpg

 取り外したコンデンサの残骸です。
2002年製造で、寿命を迎えてもおかしくはない時期でした。

IMG_3828.jpg

その後依頼者様にパソコン本体を返送し、以下の動作報告をいただきました。

「問題なく起動、安定していることを確認いたしました。まだまだ私用のメイン機として、その後もXP機として、できる限り利用し続けていきたいと思います。」 

タスクバーのアイコンがちょっと変だったのはビデオカードのドライバが原因だった件


 最近はあまり聞かなくなりましたが、パソコンのトラブルで「アイコンの表示がおかしくなる」というトラブルが昔はよくありました。そんなときに定番になっていた解決法「アイコンキャッシュを削除する」、しかし今回は一筋縄ではいきませんでした。

 先日の事なのですが、Google Chromeで適当にWebブラウジングをしている最中に妙な違和感に気づきました。
よく見てみるとタスクバーのChromeのアイコンに妙な黒い影が出ているではありませんか。

chrome_weird_icon.png

 「え~。Chromeのアイコンって元々こんな感じだったかな・・・」なんて不安に思っていましたが、よく調べてみるとChromeだけではなく他のアプリケーションのアイコンも黒い影が付いている物がありました。さらには自作のアプリケーションのアイコンまで・・・。

どうやらセーフモードでは正常に表示されるっぽい

 アイコンが化けてるのかな・・・とりあえずアイコンキャッシュを消せば直るか・・・」と軽い気持ちでアイコンキャッシュを削除→セーフモードで再起動→黒い影消失→「ほれみろ! やっぱりキャッシュ消せば直ったじゃないか」と思ったのがそもそも勘違い。

 なんと通常モードで再起動すると、例の黒い影が再び現れるのです。

 さらに、よくよく見てみるとどうやらこの黒い影はアイコンデータに含まれるアルファチャンネルのデータっぽい。
本来なら指定されたアルファチャンネル値に従って半透明で描画されなければいけないところが、問答無用で真っ黒になってしまっている事に気づきました。

 私は最近インストールしたアプリケーションがアイコン描画のAPIに悪さをしてるのではないかと疑い、ここ最近インストールしたアプリケーションをすべてアンインストールしてみましたがやはり症状は改善しません。

原因はビデオカードのドライバでした

 「それにしても・・・セーフモードではアイコンがちゃんと描画されるのに通常モードで起動するとアイコンがおかしくなるのは気味が悪い・・・。
 そもそも通常モードで読み込まれてセーフモードで読み込まれない物って・・・、ビデオカードのドライバとか、そういう重要な物だよな・・・。」

 なんて考えていると、実は最近nVidiaのドライバをアップグレードしたことを思い出しました。
該当のバージョンは「266.58」。ひょっとしたらビデオカードのドライバが悪さをしているのかもしれない。
そう思って、アップグレードしたドライバを削除し、ビデオカードの付属のCDからドライバを入れ直してみたところ、あっさりと直りやがりました!!!

chrome_normal_icon.png
 ビデオカードに付属のドライバのバージョンは「257.21」 どうやら新しいバージョンのビデオカードのドライバがアイコン描画関係に悪さをしていたようです。
 しかしながら、あのときセーフモードで再起動をしていなければおそらくは気づかなかったでしょう。

 ビデオカードのドライバが画面表示のアクセラレーションの肝を握っている事は前々から知っていましたが、まさかアイコン表示にまで影響を及ぼしているとは知りませんでした。なにしろ私はアイコンのビットマップをアルファチャンネルを考慮しつつそのまま転送していると思っていましたので。

 それにしても、ドライバのどこをどういじくればこのようにアイコン表示においてアルファチャンネルが無視されるようなバグが出来るんでしょうか・・・。こういう部分はすでに枯れていてほぼメンテナンスなんてしないと思っていました。

 というわけで、画面表示に妙な違和感を感じる場合にはビデオカードのドライバを古い物に戻してやると直る可能性もなきにしもあらずです。

コンデンサ交換 番外編 ~今まで沢山のご依頼有り難うございました。~


 時の経つのは早いもので、コンデンサの交換サービスを開始してからもう少しで2年目に突入しようとしています。

 そもそも私はこのウェブサイトを「パチスロの立ち回りをコンピュータを用いて研究する」事をテーマに開設したので、開始した当初はまったくのカテゴリ違いであるコンデンサに関しては、はっきりいってこれほどまでにご依頼を頂けるとは予想していませんでした。しかしながら予想に反してたくさんのご依頼を頂くことが出来、とても光栄に思っております。

 いままでに交換したコンデンサの本数はおそらく数百本を超えていると思います。また交換したハンダゴテのコテ先の本数、使ったハンダや洗浄剤の量もおそらく半端ではなかったと思いますが、コンデンサを交換した後に「動かなかったパソコンが起動しました」、「無事データを救出することが出来ました」などの報告にとても励まされました。

 今後とも精進して参りますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

 なお、オマケといっては何ですが・・・、いままでご依頼を頂いたマザーボードから取り外したコンデンサの画像です。処分の方法がいまいちわからず、そのまま捨てていいのかハッキリしないためこうやって取っておいたのですがいつのまにかこんなに貯まっていました。

IMG_3830.png