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マザーボード修理 ~GIGABYTE GA-7VT600~


 今回のご依頼は、GIGABYTEの「GA-7VT600」になります。
このマザーボードは2003年発売のSocket Aマザーボードで、主にAthlon XPが載るマザーボードです。

 依頼者様によりますと「先日私のPCから電子臭がしましてその辺から動作が不安定になりまして、ケースを開けたところコンデンサーに液漏れと膨張したものがありました。」とのことでコンデンサの交換のご依頼を頂きました。

交換するコンデンサは以下の21本になります。

赤:6.3V 3300μF φ10 緑:6.3V 1200μF φ10 黄色 6.3V 1500μF φ8 水色 6.3V 1000μF φ8

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 さて、マザーボードをよく見てみますと、CPUすぐそばのコンデンサが派手に液漏れを起こしています。ここはCPUに電源を供給する回路のコンデンサであると思われる部分で、たしかにこのコンデンサがこれだけ液漏れを起こしていれば不安定になってしまうのも頷けます。

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 CPU周辺のコンデンサ。他にも膨張を起こしているコンデンサが2本ほど見られます。それにしても、当時は「消費電力が多い」とか「発熱がものすごい」といわれたAthlon XPでさえ、これだけ少ない本数のコンデンサで賄えてしまうところを見ると、現代のCPUが如何に電力を食い、電源に対してシビアであるかよくわかりますね。
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メモリスロット周辺のコンデンサです。6.3V 1000μFのニチコンHM(写真右下)が若干膨らんでいます。しかし、この時代のニチコンHMはすぐに液漏れを起こしてしまうことで知られていますのでこの周辺もすべて交換してしまいます。
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 拡張スロット付近に多数ある6.3V 1000μFのニチコンHM。この時代のギガバイトのマザーボードでは、メモリスロットや拡張スロット周辺にニチコンHMが多数使われています。もちろん膨張していない物もすべて交換します。
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交換に使用するコンデンサ。定番のサンヨーWGになります。
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CPU周辺のコンデンサを交換したところです。
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つづいてメモリスロット周辺のコンデンサも交換。
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最後に拡張スロット周辺のコンデンサをサクっと交換して完了です。
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マザーボードは8月16日を以て、依頼者様の元へと返送されました。
その後動作確認の画像と共にコンデンサ交換後のPCの調子についてコメントを送って下さいましたのでここで掲載させていただきます。
笨ゥ交換していただいて気づいたこと。(PC起動して変化を感じたこと)
やはり電源系コンデンサーの交換をしていただいたので
画面の表示がやや明るくシャープになったと感じました。
・itunesなどの音楽を再生して音色と解像度に変化がありました、この変化が顕著ですね。
USB DACを通してJBLのデスクトップスピーカーを使っているのですが、交換前よりも個々の楽器がより明瞭に聴こえることと音色自体がやや高域寄りになったと感じます。
これはエージング後どのように変化してくるのか楽しみな部分であります。

これでこのPCは心機一転永く使用できそうです。
ありがとうございました。
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マザーボード修理 ~GIGABYTE GA-8ISMKH-HT 一気にまとめて6枚~


 少し前のエントリでマザーボードが6枚ほど到着した事をお伝えしましたが、本日無事コンデンサ108本の交換が完了しました。

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 GA-8ISMKH-HTという名前から想像が付くとおり、このマザーボードはGIGABYTE社製の物なのですが、日立のビジネス向けPC「FLORA」向けに製造されている物であり、一般には市販されていないマザーボードです。

 今回はある企業の方から、液漏れ・膨張を起こしたCPU周辺のコンデンサと他に負荷がかかる部位のコンデンサの交換のご依頼を頂きました。

 今回交換するコンデンサは以下の18本です。加えてマザーボードが6枚ですから全部で108本。大変な作業になりますが頑張りました。

緑:16V 1500μF 10φ × 6本 赤:6.3V 1800μF 8φ × 7本 水色:6.3V 1000μF 8φ × 5本

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 まず、CPU辺のコンデンサですが、1次側の日ケミKZGが若干膨らんでいるのと2次側のルビコンMCZが派手に液漏れを起こしています。

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 さらに、膨張などは起こしていませんが、経験上日ケミのKZGはわりと液漏れしやすい印象があるのと、GIGABYTE系のマザーボードではメモリスロット付近のコンデンサが膨らむ事が多いため、予防処置としてここも交換対象とします。IMG_5753.jpg

 AGPスロット側のコンデンサ。こちらは一箇所膨張が見られます。膨張していない物も含めてこちらも予防処置として交換します。
IMG_5750.jpg すべてのマザーボードからコンデンサを取り外した様子。108本! 使われていた物は、日ケミKZG、ルビコンMCZ、ニチコンHM、サンヨーWG等。製造時期は2003年頃ですから、膨張していない物も含め大分劣化はしていると思われます。
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 一番ひどい液漏れを起こしていたルビコンMCZ。IMGP0264.jpg
日ケミのKZGは、底から膨らんでいる物もありました。IMGP0266.jpg
 交換に使用するコンデンサ。すべてSUNCONのWGですが今回は大量にあります。
6.3V 1800μF 8φ × 42本 6.3V 1000μF 8φ × 30本  16V 1500μF 10φ × 36本
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CPU周辺のコンデンサ12本を交換したところです。
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続いてメモリスロット周辺の4本を交換。IMGP0556.jpg
AGPスロット側の2本も無事交換完了。IMGP0557.jpg
マザーボードは2011年7月2日を以て、依頼者様へと返送されました。
おまけ
流石に108本の交換となるとハンダの消費量が半端無く、新品で買ったハンダの6割近くを一日で使ってしまいました。
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マザーボード修理 ~Gigabyte GA-8IGML-T編~


 今回のご依頼は、GIGABYTEのGA-8IGML-Tのコンデンサ9本の交換作業です。
このマザーボードは2002年発売のマザーボードで、やはりコストダウンのためか中国製や台湾製の安価なコンデンサが利用されていました。GIGABYTEといえば今でこそ「オール日本製固体コンデンサを採用」を謳ったマザーボードを発売するメーカーですが、当時はコストダウンに必死だったのでしょうね。

緑枠部分:16V 1500μF
赤枠部分:6.3V 1000μF

DSCF9741.jpgまずはCPUの周辺の大きなコンデンサ3本を交換します。DSCF9746.jpg 取り外したコンデンサはCHOYOという中国のメーカーのコンデンサ。2002年あたりに製造されたもので、やはり評判がよろしくない模様です・・・。
DSCF9873.jpg交換に使用するコンデンサはルビコンのMCZです。
16V 1500μFで10φの製品を利用します。
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サクッと交換完了。
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続いて、AGPスロット周辺の小さいコンデンサ4本とメモリスロット付近の2本を交換します。
若干の膨らみがあります。
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交換に使用するコンデンサはサンヨーのWGで、依頼者様がご用意して下さいました。
サンヨーのコンデンサは高信頼で評判で、一昔前のマザーボードのVRMの一次側等、特に信頼性が要求される部分に使用されている事が多かったようです。
 今の固体コンデンサが主流になったマザーボードでは「SEPC」という固体コンデンサがよく利用されています。ちなみにサンヨーでは固体コンデンサの事を「OSコン」と称して販売しています。


DSCF9752.jpg交換後の様子
DSCF9754.jpg同じようにメモリスロット付近の2本も交換完了。
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マザーボード修理 ~GIGABYTE K8NS Ultra 939編~


今回は自分自身の所有するマザーボードのコンデンサ交換記録です。

このマザーボードは2004年の10月に発売になったマザーボードですのでかなり古い部類に入ると思います。
自分は2005年の頭ぐらいに購入し現在まで使用していました。

他の依頼者様から送られてくるマザーボードのように「突然電源が落ちる」、「起動しない」といった症状は全くなく、むしろ5年間ほぼノートラブルで稼働しておりましたが、そろそろ時期的にもコンデンサを交換する時期かもしれない、と思っていました。

そして最近点検のつもりで内部を開けてみると案の定コンデンサの膨らみを発見したので症状が悪くならないうちにコンデンサを交換してしまう事にしたわけです。

気になっていた点といえば、数年前から負荷が掛かった時にコイルから音がする所謂「コイル鳴き」という現象に悩まされていた位でしょうか。

前述の通り、このマザーボードはおよそ5年前に購入し、以来サーバー兼開発マシンとして5年間電源を入れっぱなしで稼働させていたマザーボードであるため、かなり過酷な条件で稼働しつづけていたと思われます。ですから、数カ所のコンデンサが膨らんでいたとはいえ、まだノートラブルで稼働していた事には正直驚きを隠し得ません。

しかしながら故障したコンデンサを放置しておくと本来複数のコンデンサに分散されるべき負荷が分散されなくなり、他のコンデンサも次々と故障する事が予想されますし、そうなるとマザーボードの他の部品に負荷がかかり故障してしまうという可能性も否定できないため、コンデンサの膨らみは発見した時点でさっさと交換してしまうが吉だと思われます。

さて、これが実際に取り外したマザーボードです。
膨らんでいたコンデンサは3ヶ所なのですが、実際には周辺のコンデンサもおそらく寿命が近づいていると思われるため、膨らんでいないコンデンサもまとめて交換することにしました。
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 画像中、赤い丸で囲んだコンデンサが膨張を起こしていたコンデンサ、緑の枠で囲んだコンデンサは膨張は起こしていなかったものの、いずれ近いうちに膨張することが予想されるため同時に交換する予定のコンデンサです。

 まずはCPU周辺の7本のコンデンサ。一見正常に見えますがよく見ると一番上のコンデンサの頭頂部がふくらみかけています。この状態ですでにコンデンサの性能が大幅に低下しているため、本来なら7本のコンデンサで負荷を分散されるべきものが6本に偏ることになり、つまるところ残りの6本のコンデンサの劣化を早めることになります。ちなみにここに使用されていたコンデンサは2004年41週製造のブツで、CPUの傍の高温下で黙々と働き続けていたために時期的にもそろそろ寿命を迎えてもおかしくはないと思われます。

DSCF8878.jpg 電源部(VRM周辺)のコンデンサ。ここにはサンヨーWGが6本使われておりました。膨張、液漏れは一切起こしておりませんでしたが、ここもパワーMOSFETやチョークコイルの発熱で高温になる部位ですので、寿命を考えて交換する事にしました。ちなみにサンヨーのコンデンサは高信頼と評価されているようです。確かにこの部分もかなり負荷がかかる部分ではありますが膨らんでいません。

DSCF8879.jpgメモリスロット付近のコンデンサ。明らかに膨らんで、少しだけ漏れています。
この一本を交換したところで付近のコンデンサも次々とやられる予感がしますので周辺のコンデンサも交換することにしました。

DSCF8880.jpgチップセット付近のコンデンサ。このコンデンサは膨らんでいませんでしたが、ヒートシンクの熱気(かなり熱い)に長期間曝されていたため劣化が進んでいる事が予想されるので交換対象に指定しました。

DSCF8884.jpgということで、早速交換するコンデンサをマザーボードから取り外しました。これだけ数が多いとなかなか大変でした。

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交換に使用したコンデンサ

電源部(VRM周辺)のコンデンサ
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ (ルビコンMCZ) 16V 1000μF 16MCZ1000M Φ10×16mm × 6本

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CPU周辺のコンデンサ
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ (ルビコンMCZ)  6.3V 3300μF 6.3MCZ3300M Φ10×25mm × 7本

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メモリスロット付近のコンデンサ
ニチコン 低ESR電解コンデンサ (ニチコンHM)  6.3V 1000μF UHM0J102MPD Φ8×15mm × 4本

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チップセット付近のコンデンサ
SANYO低ESR電解コンデンサ  (サンヨーWG) 10V 1000μF Φ8×15mm × 1本

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というわけで今回は合計18本のコンデンサを交換し、大変面倒でした。

その後マザーボードの再組み込みを行い動作確認を行ったところ無事起動を確認しました。
さらに、コンデンサを交換する前はVRMのコンデンサの発熱が尋常ではありませんでしたが、なんと交換後には「生ぬるい」という程度まで発熱が低減しました。電源部のコンデンサはふくらみや液漏れなどが見られなかったものの、さすがに5年も連続稼働しているとそれなりの劣化はしていた模様です。

ちなみにコイル鳴きはコンデンサを交換しても改善されませんでした。

マザーボード修理 ~GIGABYTE GA-8IPE1000 Pro編~


 今回のご依頼は「GIGABYTE GA-8IPE1000 Pro」になります。
実は私も個人的にGIGABYTEのマザーボードのユーザーでして、2003年以降のGIGABYTEのマザーボードはすでにコンデンサに関してはタフになっただろうと思っていたのでこれが実に意外でした。

 今までの依頼では主にCPU周りのコンデンサの交換依頼でしたが、このマザーボードはCPU周りのコンデンサは余裕でピンピンしており、逆にAGPスロット周りのコンデンサが膨らんだり電解液が漏れたりしていました。依頼者様に今まで発熱が大きいビデオカードを使用したことがあるかと問い合わせをしてみたところ、「特にそのような事はない」との返答を頂きましたので、おそらく犯人は不良ロットのコンデンサの残り組でしょうな。

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今回使用したコンデンサ

ニチコン HM (低ESR 電解コンデンサ) HM0J102MPD
6.3V 1000μF Φ8×15mm × 5本

 元々マザーボードに載っていたコンデンサは8Φ×11.5mmのサイズなのですが、あいにく同じサイズのコンデンサが品薄で入手困難になっていたため、依頼者様に高さが4ミリほど高くなるが問題が無いか確認したところ、問題が無い、とのことでこのコンデンサを使いました。

DSCF7846.jpg

 ということで憎き膨張コンデンサには早速退職してもらい、新しいコンデンサを取り付けました。この作業は新調した半田ごてで行ったので今までに比べてかなりスムーズに行えました。

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 その後マザーボードは無事稼働しているようで「マザーボード受け取りまして、早速利用しております。動作に問題ございませんし、非常に仕上がりもきれいで感謝感激です。」とのご報告を頂きました。このマザーボードは依頼者様のご家族の方の為のPCとして第二の人生を歩む予定であるそうです。