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マザーボード修理 ~AOpen AX4GER-N 2枚目~


 久々のご依頼です。今回はAOpenのAX4GER-Nになります。
依頼者様によりますと「業務で使用している古い端末がOSが立ち上がった瞬間に電源が落ちてしまう」とのことで、コンデンサ交換のご依頼をいただきました。

交換するコンデンサは以下の19本になります。
緑:16V 2200μF φ12.5 赤:6.3V 3300μF φ10 黄色:6.3V 1000μF φ8 紫:16V 1500μF φ10 水色:16V 680μF φ8 橙:16V 470μF

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 一番損傷が激しいのはCPU周辺のコンデンサ。コンデンサ上部からの液漏れが激しいです。

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メモリスロット付近にある3箇所のコンデンサ(緑)こちらはまだ液漏れを起こしていませんが、液漏れを起こしていないコンデンサも予防処置として交換してほしいとのご依頼をいただきましたので併せて交換します。

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同様に拡張スロット周辺のコンデンサも予防処置として交換します。

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 CPU周辺電源回路のコンデンサをすべて交換しました。入力側のコンデンサは元々16V 1800μF×2本だったものを若干強化し16V 2200μF×3本(サンヨーWX)に強化し、出力側コンデンサはサンヨーWGを用いました。

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 メモリスロット周辺のコンデンサは、元々が6.3V 1500μFでしたが、こちらは耐圧16V品のサンヨーWGを使用し、CPU周辺同様に若干の強化を行いました。

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 その他、拡張スロット周辺のコンデンサに関しましては元のスペックと同様の6.3V 1000μFを使用。こちらもサンヨーのWGです。

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 無事にコンデンサの交換が完了し、マザーボードは依頼者様の元へ返送されましたが、今回は症状が全く改善されなかったとのご報告を頂きました。おそらくはマザーボード上のMOS-FETが寿命を迎えているか、電源ユニットの寿命の可能性もあります。

今回はご期待に添えず申し訳ございませんでした。

マザーボード修理 ~AOpen i975Xa-YDG~


 続いてのご依頼は AOpenのi975Xa-YDGです。
 このマザーボードはモバイル向けのCore DuoやCore 2 Duoを載せられるマザーボードで、省電力なPCを組みたい方にはぴったりなマザーボードです。さて、依頼者様曰く「4年前に購入したマザーボードが起動しなくなり、中を開けて見たところCPU周辺のコンデンサに液漏れが見られたため交換をお願いしたい」とのことでご依頼を頂きました。
交換するコンデンサは以下の12本です。
赤:4V 680μF 8φ

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 CPU周辺のコンデンサ6本。CPUの電源回路にしては680μFが6本のみと、容量が少ない気がするのですが元々省電力なモバイルCPUを対象にしているからでしょうか。
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 その他の液漏れコンデンサもCPU周辺のものと同じく4V 680μFの物で、ルビコンのMFZというモデルなのですが、ルビコンのサイトを見てもデータシートが発見できませんでした。
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 メモリスロット付近の2本のMFZ。こちらは液漏れを起こしていませんが予防処置として交換対象とします。
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 使用するコンデンサ。サンヨーのWGですが、耐圧は若干高めの6.3V、容量も少し大きめで820μFの物を使います。
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CPU周辺のコンデンサを交換し終えたところです。
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続いて拡張スロット周辺の4本、
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メモリスロット付近2本を交換します。
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取り外したコンデンサ。2006年5週目製造のルビコンMFZでした。
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マザーボード修理 ~AOpen AX3S MAX~


 今回のご依頼はAOpenのAX3S MAXになります。懐かしいSocket 370のマザーボードです。
 AOpenのマザーボードは私も思い入れがとても深く、初めてパソコンを自作したのが今から10年前。そのときに購入したマザーボードがAOpenのAX3SP Pro-UというSocket 370のマザーボードでした。初自作でしたのでできるだけ安く組もうと思い、書き込み機能も付いていない単なるCDドライブとCeleron 1.2GHz、電源付きの安物ケース、家にあった中古のHDDを組み合わせてでパソコンを組みました。無事組み終えて不安と期待が入り交じる中、電源を投入して無事BIOSの画面を拝めた時はあまりにも感動してしまったのを今でもはっきりと覚えています。

 閑話休題。さてこのマザーボードもSocket 370の古いマザーボードで、2002年製造のものです。当時はコンデンサの液漏れ問題がまだ表に出ていなかった頃もあり、台湾製コンデンサがこれでもか、という程使われていました。このマザーボードも主要な部分にはLelonのコンデンサが使われており、26本中22本が液漏れを起こしておりました。

 今回は液漏れを起こしていない4本も含めLelonのコンデンサ26本をすべて交換します。

赤:6.3V 2200μF 10φ×11本 緑:6.3V 1000μF 8φ×11本 水色:16V 680μF 8φ×4本

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 CPUのVRM部分。大変負荷がかかる回路ですが、ここもLtecのコンデンサが主です。当然液漏れを起こしています。この頃のマザーボードはCPU専用の12V端子が無く、直接ATX電源のメインコネクタからCPU用の電源を給電するようなのですが、ここのVRMには比較的新しいマザーボードで使われている16Vの入力側コンデンサが無い事を見ると、CPUの電源は5Vから生成されていたのかな? と思いました。IMGP0701.jpg

 メモリスロット周辺のコンデンサも負荷がかかる部位であります。当然ここのコンデンサもこのように膨らんでいます。
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 6.3V 1000μFなどの小さいコンデンサ群。通常PCIスロットやAGPスロットの周辺に配置されていますが、ここのコンデンサもやはりよく膨張を起こします。
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 サウスブリッジ周辺。膨張はしていませんでしたが、Lelonのコンデンサが使われていたということもあり、こちらもすべて交換対象にします。
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交換に使用するコンデンサ
6.3V 2200μF 10φ×11本
10V 1000μF 8φ×11本
16V 680μF 8φ×11本
すべてSUNCONのWGです。PCI/AGPスロット周辺の元々のコンデンサは6.3V 1000μFでしたが、今回は若干耐圧が高い10V品を用います。
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CPU周辺のコンデンサを交換したところです。やはりピカピカの新品コンデンサは良いですね。
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メモリスロット周辺のコンデンサの交換も完了。
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AGPスロット周りと、
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PCIスロット周りのコンデンサを一気にさくっと交換しまして、
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最後にサウスブリッジ周辺のコンデンサを交換して完了です。
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取り外したコンデンサ。Lelon製。どれもボロボロに液漏れを起こしておりました。
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 コンデンサを交換したマザーボードは7月23日を以て、依頼者様の元へと返送されました。

マザーボード修理 ~AOpen MS46L編~


 今回のご依頼はAOpen MS46Lのコンデンサ14本の交換作業のご依頼です。
このマザーボードは2002年発売のマザーボードで、台湾製や中国製のコンデンサが大量に使われていた時代の物です。

 ただ、私が思うにこの時代のマザーボードは今ほど電源にシビアでは無かったため、こういうコストダウンも致し方ないのかもしれません。無論長持ちするに越したことはないのですが・・・。

緑枠:16V 2200μF 12.5φ
赤枠:6.3V 1000μF 8φ

DSCF9727.jpg まずは小さなコンデンサからコツコツと。
メモリスロット付近にある小さなコンデンサ類ですが、見事に液漏れを起こしています。

DSCF9733.jpg これらのコンデンサをサンヨーのWGに交換します。この時代のマザーボードにサンヨーのWGはかなり贅沢と言えるでしょう。しかし依頼者様に同梱して頂いたコンデンサですのでありがたく使わせて頂きます。
DSCF9737.jpg小さいコンデンサの交換は完了!
DSCF9738.jpg 取り外したコンデンサを見てみますと、コンデンサの下部がぐちゃぐちゃになったり、電解液が漏れだしている物が多数見受けられます。Lelonのコンデンサは上部よりも下部が膨らんだり液漏れを起こしたりすることが多いようです。
DSCF9761.jpg 次に、CPU周辺の大きな3本のコンデンサを交換します。使用するコンデンサは日本ケミコンのKZH。
16V 2200μF (12φ)×3本
DSCF9842.jpg やはり大きいコンデンサは小さいコンデンサに比べて若干作業がやりやすいですね。
DSCF9844.jpg 取り外したコンデンサ。こちらもLelonのコンデンサが使用されていました。やはり底の部分が若干膨れています。
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マザーボード修理 ~AOpen AK77-333編~


 今回のご依頼はAOpenのAK77-333です。
このマザーボードは2002年3月頃に発売になったSocketAマザーボードで、この時期のマザーボードでは回路的に重要な部分に当然のごとく台湾製の低品質なコンデンサが使用されておりました。このマザーボードもまた然り。

 依頼主様から送られてきたマザーボードを確認したところ、コンデンサは主に「日本ケミコン」と「Lelon」の2種類のメーカーの物が使われており、このうち台湾メーカー「Lelon」のコンデンサがすべて膨らんでいました。ちなみに中国語で電解コンデンサの事を「電解電容器」と言うそうですね。電容器、つまり電気の容器とはまさに読んで字の如く、という感じです。
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 当然これらのクソLelonコンデンサはすべて交換する事にしたのですが、ここで問題が発生。
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 CPUソケットの周辺にあるこのコンデンサ、「10V 3300μF」というスペックにしては直径がφ10と小さいんです。

 どういう事かと申し上げますと、現在流通しているコンデンサで「10V 3300μF」のコンデンサはφ12.5と若干直径が大きく、このように3本が隙間無く並べられている部分には直径が大きいコンデンサをそのまま取り付けることは出来ません(無理をすればできますが)つまり何とかしてこの部分に合うφ10のコンデンサを入手せねばなりません。

策としては二つの選択肢があります。

  • 同じ3300μFの容量のコンデンサでも耐圧が6.3Vの物ならφ10の物が手に入る。
  • 耐圧が10Vの物でφ10の物となると2200μFのコンデンサあたりが入手可能な物のうち一番大きな容量となる。

 しかしコンデンサの耐圧を無闇矢鱈に下げることはリスクを伴います(コンデンサが破裂したり発火したりします)ので前者の案は使えません。

 そこで依頼者様に改めて連絡を取り、「マザーボードの設計にはある程度のマージンを設けてあるため、若干容量が小さめのコンデンサを搭載しても動作する可能性がある」という事を説明した上で、後者の案を採り3300μFのコンデンサの代わりに2200μFのコンデンサに交換するという事にしました。

 取り外したコンデンサ。「Lelon」という台湾のメーカーの粗悪コンデンサ。

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 Lelonのコンデンサはコンデンサの上部よりも底がパンパンに膨れてしまう事が多いらしい。

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交換に使用したコンデンサ

使用したコンデンサはもちろんすべて日本メーカー製です。

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CPU周辺
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ 10V 2200μF 10MCZ2200M φ10×25mm × 3本
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拡張スロット周辺
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ 6.3V 1200μF 6.3MCZ1200M φ8×16mm × 6本
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マザーボードの隅にひっそりと存在するVRMのコンデンサ
ルビコン 超低ESR小型アルミ電解コンデンサ 16V 1000μF 16MCZ1000M Φ10×16mm × 1本
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その後マザーボードを依頼者様に返送し、動作確認をお願いしました。
特にCPU周辺のコンデンサの容量を一回り小さめの物に換装したため安定動作に不安がありましたが、以下の報告を頂きました。

何を持って問題ないと判断するかというのは難しいところですが、

  • OS(Windows7)の再インストール
  • ベンチマークソフトの連続稼動
  • 連続20時間の稼動

 を行って、別段怪しい動きをすることはありませんでしたので、問題ないと判断いたしました。

マザーボード修理 ~Aopen AX4SPE-N編~


 依頼者様によりますと「CPU傍のコンデンサ6本が液漏れ、膨張を起こしたため交換を依頼」とのことでご依頼を頂きました。その他にも、オーディオジャック付近の小さなコンデンサが何らかの拍子に外れそうになってしまったためそちらも交換して欲しいとの要望も頂きましたのでそちらも併せて交換することにしました。

 例によってCPU付近の6本のコンデンサ、日本製品ではありますが不良品ロットのニチコンHMが使用されており、頭がぷっくり膨らんでおりました。

DSCF8332.jpgこれが依頼者様曰く、「何らかの拍子で外れかけてしまっているオーディオジャック付近の小さいコンデンサ」。通常なら相当の力を加えなければこんな風にはならないのだが・・・。

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交換に使用したコンデンサ
ニチコン 低ESR解コンデンサ 6.3V 3300μF UHM0J332MPD×6本
パナソニック 超小型電解コンデンサ 16V 10μF ECEA1CKS100×1本
ちなみにCPUやチップセット、メモリスロット付近など所謂低ESRなコンデンサが必要な部分では、特に指定が無い限りニチコンHMかルビコンMCZを使っています。実はこれよりも高価でハイグレードなニチコンHZとかルビコンMHZなんてものもあるのですが、こちらはどうしても必要な場合(必要な容量とサイズがどうしても手に入らない場合)や依頼者様から直接指定があった場合を除いて使っていません。(なにより高価ですので)

DSCF8333.jpgさて、早速部品が手に入ったところでハンダ付けです。コンデンサ列の左右にコンデンサを取り付ける部分が2本ずつているのが見えますが、ここには元々コンデンサはついておりません。実は家電製品には部品を取り付ける箇所があってもなぜか取り付けられていない、というものが良くあります。
DSCF8339.jpgそしてこちらはオーディオジャック付近の小さいコンデンサです。
DSCF8342.jpg

その後依頼者様にマザーボードを返送し、動作確認をお願いしたのですが、残念なことにマザーボードは動作しなかったそうです。
しかしその後色々調べてみて原因らしき物が判明しました。
というのも、毎回コンデンサ交換のご依頼を頂く度に、修理前、修理後の写真の記録を行っているのですが(部品の配置やスペックのメモを取るという意味も込めて)、なんとオーディオジャック付近のコンデンサ近くに配置されていたと思われるチップ抵抗が木っ端みじんに吹き飛んでいる形跡が見られました。(画像をクリックしていただくと大きな画像で表示されます)
DSCF8330.jpg
 実は修理前に依頼者様からメールで「オーディオジャック付近の小さいコンデンサが取れそうになっている」との連絡を頂いていたのですが、どうも犯人はこのチップ抵抗っぽい気がします。
 何はともあれ、せっかくご依頼を頂いたにもかかわらず今回は期待に添えなくて非常に申し訳ございませんでした。

マザーボード修理 ~AOpen AX4PE Max編~


 さて、今回もマザーボードのコンデンサの交換の依頼を頂きました。

 依頼者様によると、「7年間愛用してきたPCが最近になって突然シャットダウンするようになり、マザーボードを確認したところコンデンサの頭が膨らんで液が漏れていた。愛着があるのでできれば使える間は使ってやりたい。」とのことで、こちらも俄然やる気がでてくるってものです。

 さてこちらが依頼者様より送られてきたマザーボード、”AOpen AX4PE Max”です。
2002年に発売になったこのマザーボードは不幸なことに不良電解コンデンサ問題の被害を被っていました。ごらんの通りCPU周りのコンデンサが液漏れを起こしています。
 とはいえ、今年まで問題を抱えつつも動いていたわけですから驚きを隠し得ません。

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問題のコンデンサ計7個を取り外したところ。
頭頂部の膨らみは僅かであり、破裂こそしていないものの電解液が漏れています。
なお、コンデンサはこうなった時点ですでに規定の性能を失っています。

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コンデンサが取り外されたマザーボード。
この後ハンダ吸い取り機でスルーホールに残ったハンダを除去し、新しいコンデンサを取り付ける準備を行います。

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そしてこちらが新品のコンデンサになります。ニチコンHMシリーズ。低ESRコンデンサで、CPU周辺などのシビアな部分に使います。なお、この手の回路にはESRが低いコンデンサを使うことが鉄則ですが、ESRが低すぎると逆にレギュレータが焼けてしまうことがありますので注意!
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 新品のコンデンサを半田付けしたところ。
なお、このような電源平滑用のコンデンサは「大は小を兼ねる」と思われがちですが、実際はリスクを伴います。

 実際に少し大きめの静電容量のコンデンサを取り付けると、若干の平滑性能の向上はあるのですが、あまりにも静電容量の大きなコンデンサを取り付けると、電源投入時に突入電流が流れて、周辺の回路に大きな負担をかけることになります。(充電されていないコンデンサに電圧をかけるということは、回路を一瞬ショートさせるのと同じことです。容量の大きなコンデンサは充電完了までに時間がかかりますのでその分突入電流が流れる時間も多いわけです)

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修理が完了し、依頼者様への返送を待つマザーボード。

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 その後マザーボードは無事依頼者様の元へ到着し、「心配していた突然の電源落ちもなく、さらには起動、終了がものすごく速くなりました。コンデンサを交換するだけでこんなにも変わるとは…本当に驚きです。 」との報告を頂きました。

 コンデンサを交換すると起動、終了が速くなるというのは初耳ですが、おそらくコンデンサの故障により不安定になっていた電圧の変動の影響で、CPUが正しいクロックを維持できなかったのでは?と予想していますが、詳細はわかりません。

 しかしながら、こういう報告はいつでもうれしいものです。