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マザーボード修理 ~AOpen AX4PE Max編~


 さて、今回もマザーボードのコンデンサの交換の依頼を頂きました。

 依頼者様によると、「7年間愛用してきたPCが最近になって突然シャットダウンするようになり、マザーボードを確認したところコンデンサの頭が膨らんで液が漏れていた。愛着があるのでできれば使える間は使ってやりたい。」とのことで、こちらも俄然やる気がでてくるってものです。

 さてこちらが依頼者様より送られてきたマザーボード、”AOpen AX4PE Max”です。
2002年に発売になったこのマザーボードは不幸なことに不良電解コンデンサ問題の被害を被っていました。ごらんの通りCPU周りのコンデンサが液漏れを起こしています。
 とはいえ、今年まで問題を抱えつつも動いていたわけですから驚きを隠し得ません。

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問題のコンデンサ計7個を取り外したところ。
頭頂部の膨らみは僅かであり、破裂こそしていないものの電解液が漏れています。
なお、コンデンサはこうなった時点ですでに規定の性能を失っています。

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コンデンサが取り外されたマザーボード。
この後ハンダ吸い取り機でスルーホールに残ったハンダを除去し、新しいコンデンサを取り付ける準備を行います。

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そしてこちらが新品のコンデンサになります。ニチコンHMシリーズ。低ESRコンデンサで、CPU周辺などのシビアな部分に使います。なお、この手の回路にはESRが低いコンデンサを使うことが鉄則ですが、ESRが低すぎると逆にレギュレータが焼けてしまうことがありますので注意!
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 新品のコンデンサを半田付けしたところ。
なお、このような電源平滑用のコンデンサは「大は小を兼ねる」と思われがちですが、実際はリスクを伴います。

 実際に少し大きめの静電容量のコンデンサを取り付けると、若干の平滑性能の向上はあるのですが、あまりにも静電容量の大きなコンデンサを取り付けると、電源投入時に突入電流が流れて、周辺の回路に大きな負担をかけることになります。(充電されていないコンデンサに電圧をかけるということは、回路を一瞬ショートさせるのと同じことです。容量の大きなコンデンサは充電完了までに時間がかかりますのでその分突入電流が流れる時間も多いわけです)

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修理が完了し、依頼者様への返送を待つマザーボード。

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 その後マザーボードは無事依頼者様の元へ到着し、「心配していた突然の電源落ちもなく、さらには起動、終了がものすごく速くなりました。コンデンサを交換するだけでこんなにも変わるとは…本当に驚きです。 」との報告を頂きました。

 コンデンサを交換すると起動、終了が速くなるというのは初耳ですが、おそらくコンデンサの故障により不安定になっていた電圧の変動の影響で、CPUが正しいクロックを維持できなかったのでは?と予想していますが、詳細はわかりません。

 しかしながら、こういう報告はいつでもうれしいものです。