今日は久々にボーカル録音を行おうと思い、マイクからDigital Performerに信号を送ろうとしたその時だった。
マイクに向かって歌った信号はDigital Performerに記録されたものの、再生してみると聴くに堪えない雑音が混入しており、波形を確認すると通常の音声信号ではまずあり得ない信号が記録されていた。
これがその時の波形である。
信号のプラス側(上側)には信号が行っているものの、マイナス側にはほとんど行っておらず、さらに鋭い立ち上がりを見せたかと思うと急激に減衰する、ということを繰り返している。これは通常人間の声をマイクで録音した場合には起こりえない。
ちなみに、正しい人間の声の信号は次の図のようになる。
そこで、一番疑わしいTube MP(真空管マイクプリアンプ)の分解を決行してみたところ、案の定電解コンデンサが死亡していた。
画像を見て頂くとわかるとおり、一番左のコンデンサの頭頂部が膨らんでおり、さらにその周辺のコンデンサには吹き出した電解液と見られる茶色い液体が付着している。
さらに、Tube MPは両手に収まるほどのサイズのケースに真空管とこれらの電子回路が収められており、実際にこれらのコンデンサの上部のスペースには実際には真空管が収まるのだ。そして真空管は内部のフィラメントに通電し電極を加熱することによって初めて真空管として働く。すなわち真空管は使用に際して高熱を発することを避けられない宿命にある部品なのである。そんなものが熱に弱いコンデンサのすぐ側に配置されているのだから、コンデンサが死んでしまってもおかしくはない。
Tube MPは決して高い製品ではなく、今なら新品で一万円もせずに買えるのだが、そんなことをしては、少年時代の愛読雑誌が「子供の科学」と「ラジオの製作」であった元ラジオ少年としてのプライドが許さない(笑)
そこで早速コンデンサを注文した。
注文したのは三栄電波というサイト。ここで2200μF/16Vの電解コンデンサ2本と、1000μF/35Vの電解コンデンサ1本を注文した。
かかった経費は送料込みでたったの590円。これで直ればしめた物である。
ちなみに、電解コンデンサはピンからキリまであり、高い物ほど特性に優れ、また高熱にも耐えることができる。通常これらの高いコンデンサは高級オーディオなどに使用されており、オーディオマニアによると、使用されているコンデンサの違いも音質の善し悪しを決める要因になり得るのだという。
さらに私がどこかの雑誌で読んだ話では、スーパーファミコンの映像出力回路のコンデンサを高級な物と交換し、画質の改善に成功したゲームマニアも居るらしいのでたかが電解コンデンサといって侮ることはできない。
TUBE MPの名誉の為に言っておくと、TUBE MPは初期状態ではノイズが多い製品ではあるが、真空管を交換することによりまるで別の製品になったかのように音質が改善される。さらに「マイクプリアンプ」と称しているが実際にはエレキギターやエレキベースなどにも接続することができ、真空管独自の特性で、音が「ボワッ!」と図太くなるのである。
最後に、手前味噌で申し訳ないのだが、北斗の拳のバトルボーナスのBGMを弾いてみたMP3でも録音時にギターとベースにTUBE MPを通してあるので、興味のある方は是非聴いて頂ければ光栄である。