「マザーボード修理」タグアーカイブ

マザーボード修理 ~AOpen AX4PE Max編~


 さて、今回もマザーボードのコンデンサの交換の依頼を頂きました。

 依頼者様によると、「7年間愛用してきたPCが最近になって突然シャットダウンするようになり、マザーボードを確認したところコンデンサの頭が膨らんで液が漏れていた。愛着があるのでできれば使える間は使ってやりたい。」とのことで、こちらも俄然やる気がでてくるってものです。

 さてこちらが依頼者様より送られてきたマザーボード、”AOpen AX4PE Max”です。
2002年に発売になったこのマザーボードは不幸なことに不良電解コンデンサ問題の被害を被っていました。ごらんの通りCPU周りのコンデンサが液漏れを起こしています。
 とはいえ、今年まで問題を抱えつつも動いていたわけですから驚きを隠し得ません。

IMG_0002.jpg

問題のコンデンサ計7個を取り外したところ。
頭頂部の膨らみは僅かであり、破裂こそしていないものの電解液が漏れています。
なお、コンデンサはこうなった時点ですでに規定の性能を失っています。

DSCF7033.jpg

コンデンサが取り外されたマザーボード。
この後ハンダ吸い取り機でスルーホールに残ったハンダを除去し、新しいコンデンサを取り付ける準備を行います。

DSCF7013.jpg

そしてこちらが新品のコンデンサになります。ニチコンHMシリーズ。低ESRコンデンサで、CPU周辺などのシビアな部分に使います。なお、この手の回路にはESRが低いコンデンサを使うことが鉄則ですが、ESRが低すぎると逆にレギュレータが焼けてしまうことがありますので注意!
DSCF7147.jpg

 新品のコンデンサを半田付けしたところ。
なお、このような電源平滑用のコンデンサは「大は小を兼ねる」と思われがちですが、実際はリスクを伴います。

 実際に少し大きめの静電容量のコンデンサを取り付けると、若干の平滑性能の向上はあるのですが、あまりにも静電容量の大きなコンデンサを取り付けると、電源投入時に突入電流が流れて、周辺の回路に大きな負担をかけることになります。(充電されていないコンデンサに電圧をかけるということは、回路を一瞬ショートさせるのと同じことです。容量の大きなコンデンサは充電完了までに時間がかかりますのでその分突入電流が流れる時間も多いわけです)

DSCF7170.jpg

修理が完了し、依頼者様への返送を待つマザーボード。

DSCF7172.jpg

 その後マザーボードは無事依頼者様の元へ到着し、「心配していた突然の電源落ちもなく、さらには起動、終了がものすごく速くなりました。コンデンサを交換するだけでこんなにも変わるとは…本当に驚きです。 」との報告を頂きました。

 コンデンサを交換すると起動、終了が速くなるというのは初耳ですが、おそらくコンデンサの故障により不安定になっていた電圧の変動の影響で、CPUが正しいクロックを維持できなかったのでは?と予想していますが、詳細はわかりません。

 しかしながら、こういう報告はいつでもうれしいものです。

マザーボード修理 ~Dell Dimension 4500c編~


 あまり知られていない事なのですが、当方ではソフトウェアの開発の他にマザーボードやビデオカードのコンデンサの交換サービスを行っています。(くわしくはこちら

 今月8月5日の事ですが、「Dell Dimension 4500cにおいて、Windows XPの動作中に何度も再起動を繰り返す。ケーブルや電源、メモリ類の交換を試みたが改善されず、その後Windows XPの再インストールを試みるもセットアップ中に何度もフリーズ、マザーボードのコンデンサが膨らんでいる事を発見したため交換を依頼」との旨の問い合わせを頂き、何度か連絡を取り合った後、コンデンサの交換をこちらで行うことになりました。

早速マザーボードと交換用の新品のコンデンサを送って頂きこちらで交換を実施しました。

dell_dimension4500c_before.jpg
これが交換前のコンデンサになります。ご覧の通り頭が膨らんでいます。なお依頼者様はマザーボードをこちらに送ってくださる前に故障したコンデンサにマジックで印を付けて下さいましたので、スムーズに作業が進みました。

dell_dimension4500c_after.jpg
そしてこちらがコンデンサを全て交換した後のマザーボードです。その後依頼者様から「以前のような症状は全く見られず至って快調」との報告を頂き、無事修理が完了しました。

 なお、部品は依頼者様があらかじめご自身で用意されていたので、往復の送料+技術料2000円のみ負担して頂きました。

 この様に、一見高額な修理費用がかかってしまうように見えるマザーボードの故障でも実際はコンデンサの交換だけで直ってしまう場合があります。とくに現在ではWindows XPの需要がまだまだあるにもかかわらず、対応したマザーボードやビデオカードは市場から徐々に姿を消しつつあります。(最近のビデオカードはWindows XP上で2Dアクセラレーションが効きません)

 そういった古いマザーボードやビデオカードを復活させたい方は是非ご連絡ください。