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Slingbox Soloのコンデンサ交換


 今回のご依頼はマザーボードではなくSlingboxと呼ばれる映像機器のコンデンサの交換です。

Slingboxというのは米国Slingmedia社の製品で、家庭で受信したテレビの映像をインターネット経由で視聴できるようにする装置です。つまりはネット環境さえあればテレビ番組をどこでも視聴可能にすることができます。素晴らしい!

 ところがこの製品は、依頼者様に教えていただいたサイト(https://placeshiftingenthusiasts.com/slingbox-solo-freezing-stuck-optimizing-losing-connection-check-the-capacitors/)によりますと、コンデンサの膨張や液漏れによるトラブルが多発しているらしく、起動しなくなったりネットに接続できなくなるなどのトラブルが発生するようで、主に台湾G-LUXON社製のコンデンサが膨張を起こすとのことです。

フロントパネル

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リアパネル。映像機器らしく各種入出力端子が並んでいる。
IMGP0673.jpg
Slingboxの分解

 Slingboxを分解するには本体底部の4つのゴム足を剥がす必要があります。また底部中央のシールも中央から切断する必要があります。なおこのシールを剥がすことによりメーカーの保証は受けられなくなります。
 ゴム足を取り外すとネジが4カ所見えますのでそのネジを外します。
IMGP0675.jpg
 底部パネルを取り外すと、基板が出てきます。基板を固定している5本のネジを外すことにより基板を取り外せます。
IMGP0678.jpg何者かによる改造の痕跡が・・・

 基板を取り外したところです。以下3カ所のコンデンサの交換を行います。

が、しかし! 基板を見てみたところすでに何者かによってコンデンサの交換が行われた痕跡がありました!
まず、本来ならG-LUXONのコンデンサが使われているはずの箇所が既にサンヨー製と日本ケミコン製のコンデンサになっていました。
緑:25V 220μF×1本  赤16V 470μF×2本
IMGP0680.jpg

 また、下の写真を見ていただくとわかると思うのですが、液体状のものが基板に付着しているのが見えると思います。これはフラックスといって、通常半田の中に含まれているものなのですが人間が半田付けをした場合、このフラックスが半田付けを行った箇所の周辺に写真のようにこびりつく事があります。この基板も例外ではなく、フラックスがコンデンサの足の周りにべっとりと付着していました。これは明らかに人間の手により改造が加えられた痕跡です。
 ところが、本体底部の保証シールは破られていませんし、いったいどのようにコンデンサの交換を試みたのかわかりません。ひょっとしてメーカーの仕業なのでしょうか。
IMGP0679.jpg
 なにはともあれ、依頼者様にはコンデンサ交換のご依頼をいただいているわけですので、問答無用で新品のコンデンサに交換します。
 交換に使用するコンデンサは、25V 220μF 8φ × 1本、25V 470μF × 2本になります。 元々の470μFのコンデンサは16Vの物でしたが、依頼者様の要望で25Vか35Vの物に変えて欲しいとのことでしたので、直径が16V品と同じ25V品を使用しました。いずれのコンデンサもSANYO WGです。
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 無事コンデンサの交換を終えたところです。今回は本数が少ない事と、基板が熱を分散しなかった事もありスムーズに交換が行えました。
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 ちなみに当方での半田付けの仕上がり具合はこんな感じです。IMGP0696.jpg
 取り外したコンデンサ。海外フォーラムで報告されているようなG-LUXONのコンデンサではなく、日本製のコンデンサが使われていました。IMGP0695.jpg
 無事にコンデンサの交換を終えたSlingboxは依頼者様の元へと返送されました。
現在動作確認の結果待ちです。