Phenom IIのCPUクーラーを交換


Phenom IIのリテールクーラーがうるさい件

去年の6月にCPUをそれまで使っていたAthlon 64 3800+からPhenom II X4 945に変更して以来、付属するリテールクーラーの騒音に悩まされていました。冬の時期には回転数の上昇も穏やかだったためあまり気にならなかったのですが、今年の7月から気温が上昇、それに伴い付属のリテールクーラーは甲高い回転音を出すようになり、またCPUの温度も高負荷時にはかなり高めに出ることもあり、CPUクーラーを社外品に交換しました。結果的には大満足でした。

CPUクーラーの選定

社外品のCPUクーラーには大小様々な製品があり、冷却性能や静粛性も異なるようですが、あまり大きくて重い製品はいくら冷却性能が高くても避けようと思っていました。なぜなら重さでマザーボードがたわんでしまうかもしれないからです。実は今までにコンデンサの交換の依頼を受けた際、いくつかたわんで元に戻らなくなってしまっているマザーボードを見て以来重いCPUクーラーには恐怖心を抱いていました。

そこで今回はCOOLER MASTERのVortex Plusに決定しました。この製品は見た目こそ若干大きいですが、重さは445gとそれほど重くなく、これならたわみの心配もなさそうです。

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ヒートパイプってすごい

Vortex Plusには4本のヒートパイプがCPUに直接接触する形で配置されています。この機会ですからヒートパイプについて調べてみると、とてもすごい技術なのだということがわかりました。

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まず、CPUの冷却効率を上げようと思ったら、ヒートシンクをどんどん大きくすれば良いと思っていましたが、それだけではCPUの熱がヒートシンクの一部に集中してしまっていくら大きくしてもダメなんだそうです。つまり、大きなヒートシンクを効率よく使うには熱をヒートシンクの隅々まできちんと運んでやる必要がある、その為にヒートパイプが使われる、とのこと。

ヒートパイプの中は真空になっていて、中に液体が入っているそうです。次に、ヒートパイプの片方に熱が加えられると中の液体が蒸発して気化します。(中は真空になっているため、液体は簡単に蒸発するそうです) このときに発熱源から熱を奪います(気化熱)

そうすると今度はその熱を持った蒸気がヒートシンク側まで運ばれ、冷却されます。そこで気化していた蒸気が冷やされて気体から液体に再び戻ります。こうして冷やされた液体は再び発熱源の所まで戻り、また発熱源から熱を奪い、気化し・・・という事を繰り返して熱をどんどん効率よく運ぶ事ができる、ということ。

なるほど、だからiMacとかノートパソコンとかにも積極的に採用されているわけですね。

ヒートパイプすごいよヒートパイプ

参考サイト:https://www.heatpipe.co.jp/heatpipe.html


Socket AM3プラットフォームへの取り付けは至って簡単

クーラーの付属品には様々な金具やピンが付属しますが、Socket AM3プラットフォームに至ってはたった二つの金具だけで取り付けられ、難易度も高くありません。マザーボードの取り外しも必要ありませんでした。
また、シリコングリスも付属しています。(私はそれを知らずにわざわざグリスを別に買ってしまいました・・・)

たくさんのパーツが付属しているが・・・

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AM3マザーへの取り付けはこの二つのパーツだけで良い

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早速マザーボードに取り付けてみたところ。残念ながらメモリとヒートシンクが干渉してしまったため、メモリの位置を変えることによって回避した。IMGP0625.jpg

テスト結果

テストはエアコンが効いていない真昼の暑い時間帯(室温32度)に行いました。エアコンが効いていない、というより去年の秋にエアコンが壊れてそのまま放置してあるのです(汗)ですからアイドル時とはいえリテールクーラーの回転数はかなり高いことにご留意ください。

リテールクーラー

  • アイドル時 Cool’n’Quiet ON
    ファン回転数4299RPM CPU温度40度
  • アイドル時 Cool’n’Quiet OFF
    ファン回転数4470RPM CPU温度42度
  • 高負荷時
    ファン回転数5921RPM CPU温度60度
Vortex Plus
  • アイドル時 Cool’n’Quiet ON
    ファン回転数1819RPM CPU温度38度(リテール比-2度)
  • アイドル時 Cool’n’Quiet OFF
    ファン回転数1985RPM CPU温度40度(リテール比-2度)
  • 高負荷時
    ファン回転数2836RPM CPU温度51度(リテール比-9度)

結果を見て頂くと解るとおり、ファンの回転数がリテールクーラーの約半分であるにもかかわらず、高負荷時においての温度上昇がリテールクーラーと比べてかなり低くなっています。また、ファンの口径が大きく風量が多いため、CPUのみならずCPU周辺にあるVRMやチップセットなども冷却されるようです。さらに、高負荷時からアイドル時へ戻った際にリテールクーラーの時には温度が下がるまでにある程度の時間を要していましたが、Vortex Plusの場合にはすぐに温度が元に戻ります。これはすごい。

結果は大満足です

 こんな事ならCPUを買うときに一緒にこの製品を買っておけばよかったと思いました。
現在AMDのリテールクーラーがうるさいと感じている方には間違いなくおすすめできる製品だと思います。