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マザーボード修理 ~Compaq Presario 3903JP編~


はい。今回もマザーボードの修理の依頼を頂きました。

 今回はCompaq Presario 3903JPです。
Compaq Presario 3903JPは2002年製で、製造時期的に不良電解コンデンサ問題の被害を被っていそうな雰囲気です。依頼者様曰く「7年間Webサーバやメールサーバとして常時通電状態で使用していました」とのこと。

DSCF7477.jpg交換前の液漏れおよび膨張したコンデンサ。
CPU周りの10本とメモリスロット付近の1本、合計11本のコンデンサがこのように膨らんで液漏れを起こしていました。今にも破裂しそうでパンパンです!!!

DSCF7480.jpg早速コンデンサを取り外します。実はハンダ付けする作業よりも取り外す作業のほうが、スルーホールに残ったハンダをきっちりと除去しなければならない分若干手間がかかります。
DSCF7486.jpg取り外したコンデンサ。ニチコンHMシリーズ。
ムスカ「怯えることはない。こいつははじめから死んでいる。」
DSCF7490.jpgさて、こちらが新品のコンデンサになります。本当はニチコンHMを使用する予定でしたが、あいにく同規格品が品薄でしたので、依頼者様の了解を得て、超低ESRでハイグレードなHZシリーズを使用させて頂きました。ゴールドのスリーブがいかにもハイグレード品という雰囲気を醸し出しています。
DSCF7525.jpgそして、ハンダゴテで一本ずつハンダ付け。
DSCF7530.jpgめでたく修理が完了したマザーボード。
この後クロネコヤマトに持って行き、依頼者様の元へと返送されます。なお、ドットインパクトプリンターを持っていないので伝票は毎回手書きです。

DSCF7534.jpg その後依頼者様から「動作良好です」とのご報告を頂きました。
今までサーバ機として利用していたこのマシンを再びクライアント機として利用することにしたそうです。

マザーボード修理 ~AOpen AX4PE Max編~


 さて、今回もマザーボードのコンデンサの交換の依頼を頂きました。

 依頼者様によると、「7年間愛用してきたPCが最近になって突然シャットダウンするようになり、マザーボードを確認したところコンデンサの頭が膨らんで液が漏れていた。愛着があるのでできれば使える間は使ってやりたい。」とのことで、こちらも俄然やる気がでてくるってものです。

 さてこちらが依頼者様より送られてきたマザーボード、”AOpen AX4PE Max”です。
2002年に発売になったこのマザーボードは不幸なことに不良電解コンデンサ問題の被害を被っていました。ごらんの通りCPU周りのコンデンサが液漏れを起こしています。
 とはいえ、今年まで問題を抱えつつも動いていたわけですから驚きを隠し得ません。

IMG_0002.jpg

問題のコンデンサ計7個を取り外したところ。
頭頂部の膨らみは僅かであり、破裂こそしていないものの電解液が漏れています。
なお、コンデンサはこうなった時点ですでに規定の性能を失っています。

DSCF7033.jpg

コンデンサが取り外されたマザーボード。
この後ハンダ吸い取り機でスルーホールに残ったハンダを除去し、新しいコンデンサを取り付ける準備を行います。

DSCF7013.jpg

そしてこちらが新品のコンデンサになります。ニチコンHMシリーズ。低ESRコンデンサで、CPU周辺などのシビアな部分に使います。なお、この手の回路にはESRが低いコンデンサを使うことが鉄則ですが、ESRが低すぎると逆にレギュレータが焼けてしまうことがありますので注意!
DSCF7147.jpg

 新品のコンデンサを半田付けしたところ。
なお、このような電源平滑用のコンデンサは「大は小を兼ねる」と思われがちですが、実際はリスクを伴います。

 実際に少し大きめの静電容量のコンデンサを取り付けると、若干の平滑性能の向上はあるのですが、あまりにも静電容量の大きなコンデンサを取り付けると、電源投入時に突入電流が流れて、周辺の回路に大きな負担をかけることになります。(充電されていないコンデンサに電圧をかけるということは、回路を一瞬ショートさせるのと同じことです。容量の大きなコンデンサは充電完了までに時間がかかりますのでその分突入電流が流れる時間も多いわけです)

DSCF7170.jpg

修理が完了し、依頼者様への返送を待つマザーボード。

DSCF7172.jpg

 その後マザーボードは無事依頼者様の元へ到着し、「心配していた突然の電源落ちもなく、さらには起動、終了がものすごく速くなりました。コンデンサを交換するだけでこんなにも変わるとは…本当に驚きです。 」との報告を頂きました。

 コンデンサを交換すると起動、終了が速くなるというのは初耳ですが、おそらくコンデンサの故障により不安定になっていた電圧の変動の影響で、CPUが正しいクロックを維持できなかったのでは?と予想していますが、詳細はわかりません。

 しかしながら、こういう報告はいつでもうれしいものです。

マザーボード修理 ~Dell Dimension 4500c編~


 あまり知られていない事なのですが、当方ではソフトウェアの開発の他にマザーボードやビデオカードのコンデンサの交換サービスを行っています。(くわしくはこちら

 今月8月5日の事ですが、「Dell Dimension 4500cにおいて、Windows XPの動作中に何度も再起動を繰り返す。ケーブルや電源、メモリ類の交換を試みたが改善されず、その後Windows XPの再インストールを試みるもセットアップ中に何度もフリーズ、マザーボードのコンデンサが膨らんでいる事を発見したため交換を依頼」との旨の問い合わせを頂き、何度か連絡を取り合った後、コンデンサの交換をこちらで行うことになりました。

早速マザーボードと交換用の新品のコンデンサを送って頂きこちらで交換を実施しました。

dell_dimension4500c_before.jpg
これが交換前のコンデンサになります。ご覧の通り頭が膨らんでいます。なお依頼者様はマザーボードをこちらに送ってくださる前に故障したコンデンサにマジックで印を付けて下さいましたので、スムーズに作業が進みました。

dell_dimension4500c_after.jpg
そしてこちらがコンデンサを全て交換した後のマザーボードです。その後依頼者様から「以前のような症状は全く見られず至って快調」との報告を頂き、無事修理が完了しました。

 なお、部品は依頼者様があらかじめご自身で用意されていたので、往復の送料+技術料2000円のみ負担して頂きました。

 この様に、一見高額な修理費用がかかってしまうように見えるマザーボードの故障でも実際はコンデンサの交換だけで直ってしまう場合があります。とくに現在ではWindows XPの需要がまだまだあるにもかかわらず、対応したマザーボードやビデオカードは市場から徐々に姿を消しつつあります。(最近のビデオカードはWindows XP上で2Dアクセラレーションが効きません)

 そういった古いマザーボードやビデオカードを復活させたい方は是非ご連絡ください。

ビデオカードのコンデンサを交換


前回のエントリで、壊れた2枚のビデオカードのうち部屋に眠っていた1枚のビデオカードのコンデンサを暫定的にオーディオ製品用の電解コンデンサに交換する記事を書きましたが、同時に「この手の回路には低ESR品を使う事が鉄則」とも書きました。

そこで、改めて三栄電波から超低ESRコンデンサと個体電解コンデンサを注文し、ビデオカードの本番修理に臨みました。

注文したコンデンサ。左側のは固体電解コンデンサ。低いESRと高い信頼性が特徴。そして「固体」の字通り、電解質に液体を用いていないのが特徴。右側のはコンピュータ用超低ESR電解コンデンサ。主にデジタル回路の電源の平滑とノイズ除去に用いる。
左側の固体電解コンデンサは、もう一枚のビデオカードの修理に用いる予定だったが、リード線の太さが太すぎて基板に入らないというアクシデントが発生したため、修理をあきらめた(汗) これ高かったんだぞ(汗)
capacitors.jpg

それで、もう一枚の方のビデオカードですが、こちらは無事本修理が終わりました。
videcard_fixed.jpg

さて、本修理を終えた感想ですが、元々故障したビデオカードが直って良かったのは勿論ですが、安物ビデオカードに見られる微妙なノイズがまるっきり減りました。そして、文字や画像がクッキリしました。

sharp.jpg

こうも効果がはっきりと見てとれると、部屋中の家電のコンデンサを片っ端から高級なものに交換したい衝動にかられます。
私が思うに、電解コンデンサは有寿命であると同時にその品質が製品全体のクオリティを左右する点において、自動車のエンジンオイルとよく似ていると思います。

 ちなみに当サイトでは、コンデンサが破裂して動かなくなってしまったビデオカードやマザーボードのコンデンサを高品質な日本製品に取り替えるサービスを行っております。
費用は部品代+手数料2000円+送料のみです。 部品代は大量のコンデンサを使用してる製品でないかぎり500~1500円の範囲内に収まるはずです。

 興味のある方は、マザーボード、ビデオカードの電解コンデンサの交換サービスのページをご覧ください。

今度はビデオカードのコンデンサが死亡


今回のエントリは、「Tube MPのコンデンサがとうとう寿命を迎えたらしい。」に引き続き、またまたコンデンサ絡みの話題です。

事の発端

昨夜のことになるのですが、いつものように寝転がりながらWikipediaをダラダラと読みつつ、いつ披露するかもわからない雑学を蓄えてた時の事です。画面突然が真っ暗になったかと思うとしばらくしてから復活するという現象が繰り返し発生しました。イメージ的にはビデオカードが勝手に再起動を繰り返す感じでした。しばらくすると、今度はマウスカーソルを動かすたびに非常にサイケデリックな画面が表示されるようになり、最終的に画面が写らなくなりました。

私は思いました。「またコンデンサか……」と。
そうです。コンデンサが死亡したときの典型的な症状の一つです。

そこでコンピュータの電源を落としビデオカードを取り外してみたところ……

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6個あるうち、5個のコンデンサが見事に吹いてます(汗)
防爆弁を突き破って茶色い毛のようなものがモジャモジャと……
電子回路において、「ひでぶ!」とか「あべし!」という言葉がまさに似合う光景。

いつこうなったかはわかりませんが、それでもこの状態で今まで普通に動いていたのだから恐ろしい。(画面にゆらゆら揺れるようなノイズが走るなどの兆候はあったのですが)

できるだけ早い復旧を望んだ

さらに、このコンピュータは私の開発環境一式がインストールされている開発用マシンでもあり、当然Jugglampその他の開発にも使われているマシンであり、slotwareをホスティングしているサーバーでもあります。つまり、サーバーとして働いてもらっている以上、よほどのことが無い限り電源を落とすわけにはいかないのです。

しかしながら、コンデンサの破損を確認したのが午後10時、PCパーツショップは当然閉店ですから、新しいビデオカードを買いに走るということはできません。交換用のコンデンサを注文したとしても届くのは2,3日後。とはいえ、サーバーマシンですからできるだけ早く復旧させたいところ。

とりあえず、部屋にある物はなんでも使ってみる

と、その時です。以前にもコンデンサが膨らんで壊れたビデオカードがあって、それがまだ部屋のどこかに保管されていることを思い出しました。たしかそのビデオカードの壊れたコンデンサは2個。なんとかなりそうだ・・・と考えていたところ、「TUBE-MPから取り外した3個のコンデンサのうち、頭が膨らんでいない2個をとりあえず使ってみる作戦」に出ることを決行。

近くにチョークコイルやレギュレータがあるので電源平滑用のコンデンサと見て間違いないはず。つまりある程度容量が大きければなんとか動くだろう、と仮定し取り付けてみた。

実際の修理

まずは古いビデオカードから膨らんだ2個のコンデンサを取り外し、TUBE MPから取り外したコンデンサのうち一つを付けてみた。一番大きいのが無理矢理取り付けたブツ。

DSCF3055.jpg

一個目のコンデンサが大きすぎるため、この時点で基板に2個目のコンデンサを取り付けるスペースが無くなったため、2個目は裏に無理矢理付けた(汗) 多層基板だからできた裏技。

DSCF3057.jpg

で、最終的に上記の方法で無理矢理修理したビデオカードをコンピュータに取り付けてみたところ。

DSCF3048.jpg

もしこれがうまく行けば、電源を入れれば画面が正常に表示されるはず。
そうなることを願いながら、電源を入れてみると……
写りました!
そして、以前から気になっていたユラユラと揺れるようなノイズもまったく無く、至って順調に動いています。(何よりいまこの記事を書けているのがその証拠です)
注意すべき点は……
しかし、注意すべき点があります。
まず、この対処は一時凌ぎに過ぎないということです。なぜかと申しますと、ビデオカードやCPUの電源周りに使われるコンデンサは低ESR品を使う事が鉄則であり、さもなくば最悪の場合、許容リップル電流をオーバーした場合に、再び破裂する可能性もなきにしもあらず、なわけです。
オーディオ機器から取り外したコンデンサがかろうじて使えているとはいえ、実際には想定外の負荷がかかっているかもしれません。
とりあえず画面が安定して表示されるようになったことは大きな前進ですので、近日中に再び三栄電波にて低ESR品のコンデンサを注文し、新旧両方のビデオカードを修理する予定です。
私はMOTTAINAI精神を大切にしています。

近代の日本人に失われつつあるMOTTAINAI精神。
壊れたら新しい物に買い換える。それが現代の主流になってしまいましたが、壊れた物を修理し、それが再び動き出したときの感動はすばらしいものです。
私はこの精神を今後も大切にしていこうと思います。

TUBE MPの修理は無事完了しました。


Tube MPのコンデンサがとうとう寿命を迎えたらしい。のエントリでお伝えしたとおり、電解コンデンサが真空管の発熱によって死亡してしまったTUBE MPですが、本日注文したコンデンサが届きましたので、早速交換を実施しました。

届いたコンデンサ。送料込みでたったの590円。決して高級品ではないが日本製なので信頼性は高いはず。
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早速TUBE MPの基板から古いコンデンサを取り外す。どうやらスルーホール基板のようである。
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新しいコンデンサを半田付けしたところ。古いコンデンサと同規格品ではあるが、若干サイズが大きい・・・
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TUBE MPに入っている真空管。これが熱に弱いコンデンサのすぐ隣にあるのである(汗)
DSCF3004.jpg

修理が完了し、再び命を吹き返したTUBE MP。驚いたことに、交換したコンデンサは決して高級品ではないにもかかわらず、ノイズがさらに低減していた!
なによりも、たった590円の出費で以前よりもボーカルが明瞭に録音されるようになったのがうれしい。
DSCF3009.jpg

となると、今度は真空管をより高級な物へと交換したい欲が出てきてしまった・・・

2009年11月16日追記:

コンデンサ交換前と交換後の音質比較記事を書きました。
→TUBE MPの音質はコンデンサの交換を行ったことでどう変化したか

Tube MPのコンデンサがとうとう寿命を迎えたらしい。


今日は久々にボーカル録音を行おうと思い、マイクからDigital Performerに信号を送ろうとしたその時だった。

マイクに向かって歌った信号はDigital Performerに記録されたものの、再生してみると聴くに堪えない雑音が混入しており、波形を確認すると通常の音声信号ではまずあり得ない信号が記録されていた。

これがその時の波形である。
信号のプラス側(上側)には信号が行っているものの、マイナス側にはほとんど行っておらず、さらに鋭い立ち上がりを見せたかと思うと急激に減衰する、ということを繰り返している。これは通常人間の声をマイクで録音した場合には起こりえない。

signal_bad.png

ちなみに、正しい人間の声の信号は次の図のようになる。

signal_good.png

そこで、一番疑わしいTube MP(真空管マイクプリアンプ)の分解を決行してみたところ、案の定電解コンデンサが死亡していた。

tubemp_capacitors.jpg

画像を見て頂くとわかるとおり、一番左のコンデンサの頭頂部が膨らんでおり、さらにその周辺のコンデンサには吹き出した電解液と見られる茶色い液体が付着している。

さらに、Tube MPは両手に収まるほどのサイズのケースに真空管とこれらの電子回路が収められており、実際にこれらのコンデンサの上部のスペースには実際には真空管が収まるのだ。そして真空管は内部のフィラメントに通電し電極を加熱することによって初めて真空管として働く。すなわち真空管は使用に際して高熱を発することを避けられない宿命にある部品なのである。そんなものが熱に弱いコンデンサのすぐ側に配置されているのだから、コンデンサが死んでしまってもおかしくはない。

Tube MPは決して高い製品ではなく、今なら新品で一万円もせずに買えるのだが、そんなことをしては、少年時代の愛読雑誌が「子供の科学」と「ラジオの製作」であった元ラジオ少年としてのプライドが許さない(笑)

そこで早速コンデンサを注文した。

注文したのは三栄電波というサイト。ここで2200μF/16Vの電解コンデンサ2本と、1000μF/35Vの電解コンデンサ1本を注文した。

かかった経費は送料込みでたったの590円。これで直ればしめた物である。

ちなみに、電解コンデンサはピンからキリまであり、高い物ほど特性に優れ、また高熱にも耐えることができる。通常これらの高いコンデンサは高級オーディオなどに使用されており、オーディオマニアによると、使用されているコンデンサの違いも音質の善し悪しを決める要因になり得るのだという。

さらに私がどこかの雑誌で読んだ話では、スーパーファミコンの映像出力回路のコンデンサを高級な物と交換し、画質の改善に成功したゲームマニアも居るらしいのでたかが電解コンデンサといって侮ることはできない。

TUBE MPの名誉の為に言っておくと、TUBE MPは初期状態ではノイズが多い製品ではあるが、真空管を交換することによりまるで別の製品になったかのように音質が改善される。さらに「マイクプリアンプ」と称しているが実際にはエレキギターやエレキベースなどにも接続することができ、真空管独自の特性で、音が「ボワッ!」と図太くなるのである。

最後に、手前味噌で申し訳ないのだが、北斗の拳のバトルボーナスのBGMを弾いてみたMP3でも録音時にギターとベースにTUBE MPを通してあるので、興味のある方は是非聴いて頂ければ光栄である。