マザーボード修理 ~DELL Optiplex GX270 その6~


 震災以来2度目のご依頼になります。

今回のご依頼は以前にも何度かOptiplex GX270のコンデンサの交換をご依頼頂いた方で、とある企業の方からのご依頼です。
ここ最近の傾向ですが、企業の方から何台もまとめてご依頼を頂く事が多く、大変有り難い限りです。

 今回交換するコンデンサは以下の17本になります。 17本あるコンデンサのうち液漏れ、膨張を起こしているコンデンサはVRM1次側の3本とメモリスロット周辺の5本で、CPU周辺にある9本のコンデンサはまだ膨張を起こしてはいませんでしたが、使用時期からみて寿命が近づいている可能性が大きいとのことでこちらも併せて交換して欲しいとのことでした。

緑:16V 1800μF 10φ×3本 赤:6.3V 1800μF 8φ×9本 青:6.3V 1500μF 10φ×5本

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 ひどい液漏れを起こしている部分はこちら、VRM1次側。16V 1800μFのニチコンHNが3本使われています。
この部分のコンデンサはヒートシンクが邪魔して交換が大変ではありますが頑張って交換します。
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同じくニチコンHNが使われているメモリスロット周辺のコンデンサ。こちらも膨張や液漏れが見られます。
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CPU周辺にある9本のコンデンサ。こちらは液漏れなどは起こしていない物の、製造時期や使用期間から寿命が近いと予想される。防爆弁形状からルビコンのコンデンサだと思いましたが、どうやら違うようで、メーカー不明です。
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交換に使用するコンデンサ。
すべてサンヨー(現SUNCON)のWGシリーズを用います。
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まず最初に本数が多くて厄介なCPU周辺から交換に入ります。
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次に難易度が一番低いメモリ周辺。
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最後に、かなり高難易度のVRM1次側コンデンサ。ここは狭い隙間からラジオペンチを突っ込み、コンデンサを持ちながら慎重に作業を行わなければならない箇所ですので非常に神経を使います。
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取り外したコンデンサ。2004年製造で、寿命を迎えてもおかしくない時期でした。
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この後マザーボードは無事依頼者様の元へ返送されました。

マザーボード修理 ~DELL Optiplex GX620 2台目~


久々にコンデンサ交換ネタです。
震災発生後初めてのご依頼になります。

今回はDELLのOptiplex GX620です。以前にも同じ方から同じ機種のご依頼を頂きましたが、多忙に付きまだブログに載せていません。申し訳ございません。

今回もとある会社のとある部署で使われているOptiplexのコンデンサが破裂してしまったとのことでご依頼を頂きました。

今回交換するのは以下の9箇所のコンデンサになります。

赤:6.3V 2200μF 10φ緑 16V 1500μF 10φ

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膨らんでいるコンデンサはチップセットおよびメモリ周辺の電源回路らしき部分のコンデンサで、9本あるうちの4本が膨張して液漏れを起こしておりました。そこで、予防処置も含めてこの9本をすべて交換することにしました。

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交換に使用するコンデンサ

すべてサンヨーのWGです。

6.3V 2200μF 10φ × 6本
16V 1500μF 10φ × 3本

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新しいコンデンサを取り付けた所です。

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今回のご依頼は前回と同様に筐体のままでのご依頼でしたので、このように再組み立てします。

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取り外したコンデンサ。防爆弁の切れ込みが裂け、見事にガスが抜けたあとが見られます。
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 コンデンサ交換を施したパソコンは5月14日を以て、依頼者様の元へと返送されました。
なお、前回修理したマザーボードはその後好調に動作しているそうです。
今回もご依頼ありがとうございました。

Socket 939マザーがまだ新品で手に入るようです


自分用備忘録も兼ねて。
939A790GMH(m).jpg
ASRockの939A790GMHというマザーなのですが、まだ新品で手に入るそうです。
しかも、CPU周辺は固体コンデンサで固められていて良い感じ。
https://www.asrock.com/mb/overview.jp.asp?Model=939A790GMH

サーバ用にAtom搭載マザーを買おうかと思ったけど、手元にSocket 939なAthlon 64が余っているので、こちらを買うという選択肢もありかもしれませんな。

CUBE GをDigital Performerで使う方法


 前々回のエントリで、iCON DIGITAL社のCUBE GがDigital Performerで不具合を起こして使えなかった事をお伝えしましたが、その後幾度かの試行錯誤を経てなんとか(不完全ではありますが)使えるようになったのでお伝えします。

単純にバッファサイズの設定を行うだけではダメだった

 CUBE GをDigital Performerでそのまま使うとブチブチというノイズが発生し、頻繁に音が途切れるなど、全く使い物にならなかったのは前々回お伝えした通りですが、この音の途切れはConfigure Hardware Driverからバッファサイズの設定を行うだけではまったく改善しないことが分かりました。

 そこでいくらか設定を見直したところ、普段は全くといっていいほど設定を変更しないWork Priorityという項目に注目。試しにHighからLowへと変更してみたところ、音の途切れは9割方改善しました。(それでも不規則にブチッという音の途切れは発声しますが、全く使い物にならないというレベルではなくなりました)

configurehardwaredriver.png

 では、このWork Priorityとは何者かと申しますと、MOTU Audio SystemにどれだけのCPUを割り振るか、の指定だそうです。デフォルトではHighにセットされておりますし、MOTUのオーディオインターフェース等ではデフォルトのままでも動作するそうですが、海外サイトをいろいろみて回った結果、一部の他メーカー製のオーディオインターフェースではドライバがCPUリソースを大量に使用する場合があり、この場合にはHighにセットしたままだとドライバにCPUリソースが割り当てられずに音切れを起こすそうです。つまりはこの設定をLowにすることにより、MOTU Audio Systemの優先度が下がり、逆にドライバにCPUリソースがより多く割り当てられる為安定して動作する、とのこと。

この状態でバッファサイズを小さくしてみると

 Work Priorityを変更することにより音の途切れは改善されたのですが、バッファサイズを小さくしなければレイテンシが大きく、ソフトシンセのリアルタイム入力には使えません

 そこで、バッファサイズをある程度小さくしてみます。ここでは2048から256まで変更してみます。
するとどうでしょうか。CPUの負荷の上昇率がひどく、これではソフトシンセどころではありません。

バッファサイズを2048から256に変更してみたところ。
CUBE GではCPU負荷が大幅に上昇した。

AudioPerformanceCubeG.png
 たしかにオーディオインターフェースの設定においてバッファサイズを小さくすると言うことはそれだけCPUに負荷をかけるということなのですが、この上がり方は異常です。
試しにiMacの内蔵オーディオインターフェースで同様にバッファサイズを256に設定してみると、この場合はCPU負荷はほとんど上がりません。

内蔵オーディオの場合にはバッファサイズを256まで下げてみても
それほどCPU負荷の上昇は見られなかった。

AudioPerformanceInternal.png

現段階ではソフトシンセのリアルタイム入力目当てでCUBE Gは使えない

 少なくともDigital Performerにおいてはこのような不具合がまだ残っている事から(ほかのDAWではわかりません)、CUBE Gをソフトシンセのリアルタイム入力で使うことは難しいと考えた方が良いかもしれません。
 しかし、どうもこの手のトラブルはハードウェアの不具合と言うよりはドライバの出来の問題である気がしなくもないため、ドライバのバージョンアップを待つというのも手です。

ドライバの出来は今の段階ではイマイチ

 最新のドライバは2011年5月9日現在、開発元のicon globalのwebサイトから(Mac用はバージョン1.29)入手できます。
 ところがこのドライバ、少々曲者で、Windowsマシンを使わないとMacにはインストールできません。
 ドライバのファイルはrarアーカイブで配布されています。もちろんこれをMacのStuffIt Expanderで解凍することはできますが、Macで解凍した場合に元々のディレクトリ構造が再現されず、インストールできません。

Macを使って配布されているドライバファイルを解凍すると、
このようにディレクトリ構造が正常に再現されない。

wrongdriverfiles.png
 最新ドライバをインストールするためには、このファイルをWindows上でいったん解凍してからMacに持ってくる必要があります。

Windows上でドライバファイルを解凍し、Macに持ってきたところ。
これで正常にインストールできる状態になった。

correctdriverfiles.png64ビットドライバは用意されている物の、現状では使えない

 また、icon globalのwebサイトにはsnow leopardの64ビットカーネル用のドライバも用意されていますが、これをインストールしても、64ビットカーネルではCUBE Gを認識しません。
従って、現段階では32ビットでしか利用できないと考えてください。

 また、ドライバをインストールすると一緒にインストールされる「Icon Control Panel」も、機能こそするものの、メニュー内に表示されるアプリケーション名は「Quit New Application」となっていることから、IDEで生成されるプロジェクトのひな形をそのまま使い、名称の変更を行っていない等、不完全な箇所があります。

ドライバの改良が求められる

 ドライバがきちんと改良されてCPU負荷がかからない仕様になれば非常にコストパフォーマンスが高いオーディオインターフェースとして使えるようになるでしょう。

 また、Icon Control Panelで設定した内容(monitor mixerのボリューム値等)は設定ファイルに保存されるようにしてほしいです。というのも、Macを起動する度、もしくはスリープから解除される度、またはCUBE GをUSBコネクタに接続する度にIcon control Panelで設定した内容がリセットされてしまい、毎度使用に先立ってソフトウェアモニタリングを手動で無効にしなおすのは非常に手間がかかるからです。

私の場合は、ソフトウェアモニタリングを無効にするため、
毎回この画面を開きツマミをすべてゼロにする作業を行う。
是非ともこの設定は保存されるようにしてほしいところ。

IconControl.png

  前々回のエントリで申し上げたとおり、音質は値段以上です。また本体のスペックは24bit/192KHzまでサポートしていますし、デザインもなかなか洒落ていて非常に良い、またこの価格帯で4 in 4 outをサポートする等、ほかのオーディオインターフェースとは一線を画していますから、是非とも今後のドライバの改良に期待します。

MDR-CD900STについて語ってみる


今日は、ソニーのスタジオモニターヘッドフォン、「MDR-CD900ST」について語ってみます。
テレビなどで歌手がヘッドフォンをつけながらマイクに向かって歌のレコーディングを行っているシーンを見た事があるかたも多いかと思います。そのときにほぼ例外なく歌手の頭に装着されているヘッドフォンがそれです。

「またまた、そんな高そうなヘッドフォンの話なんかしやがって。どうせウン十万もするプロ用だろ」と今思った方、なんとこのヘッドフォン、プロ用機器ですが15000円前後で売られているのです。

mdrcd900st.jpg

MDR-CD900STとの出会い

元々私は過去に通信カラオケの演奏データを制作する仕事をしていました。
良く多くの人が勘違いされるのが、「カラオケの音はCDからボーカルを抜き取った物だ」とか、「レコード会社からボーカル無しの音を提供してもらってそれを使っている」といった物がありますが、実は違います(2011年現在)。もちろん今の技術ではレコード会社からボーカル無しの音を提供してもらってそれを使う事も可能でしょう。しかしその場合にはカラオケメーカーはレコード会社に対し使用料を支払わなければなりません。

通信カラオケの機械から聞こえてくるあの音は実は「MIDI」で演奏されている音なのです。(一部生演奏を合成した物も登場していますが)
MIDIデータというのは、実際の音声データではなくいわゆる譜面データのようなもので、データの中には「この音階の音をこれぐらいの強さで発声せよ」とか「音量をあげろ」とか「ピアノの音色に切り替えろ」といった命令が並んでおり、これに時間情報を伴わせ、それに従ってシンセサイザなどの機器に情報を次々と送り出すことにより音楽を演奏する、ということを行っています。

さて、そのカラオケ用のMIDIデータでありますが、実は「カラオケ職人」と呼ばれるその手の職人により1曲1曲、手作業で制作されています。今現在の技術では、たとえばCDなどの音楽をMIDIデータに完璧に変換する事は不可能で、職人たちはいわゆる「耳コピ」という技術と「打ち込み」という技術を駆使して、発注を受けた曲をMIDIデータとして作り直しているわけです。

私も過去10年ほどその仕事をしていました。発注があると事務所から電話が入り「今からMP3を送りますので○月○日までに制作をお願いします」というような事を言われます。そしてここからが地獄の耳コピ作業が始まるわけです。

その耳コピ作業ですが、元々の曲をできるだけ忠実にMIDIで再現するためには元の曲が良く聞こえる環境で作業をする必要があります。なぜならばどんなに些細な音でも聞き逃してはならないからで、もし完璧に耳コピができていないのならばリテイク(やりなおし)を命じられます。当然、できるだけ音の良いオーディオインターフェースに音の良いアンプをつなぎ、音の良いヘッドフォンやスピーカー、という事になるわけですが、私はこの仕事を始めてから数年の間は家電量販店で売られている1万円前後のヘッドフォンを使っていました。

もちろんそのヘッドフォンで十分だと思っていましたし、仕事も問題なくこなせていたのですが、ある時お世話になっていた検収の方から「MDR-CD900STというヘッドフォンは音が非常に良く聞こえて耳コピでとても役に立ちますから是非手に入れてください」との序言をいただいたのをきっかけに、ヘッドフォンの買い換えを検討するようになりました。

同時に、当時私と同じ仕事をしていた仕事仲間の方が実際にMDR-CD900STをもってきて音を聴かせてくれる機会があり、初めてその音を聴くことになったのですが、私はその音を聴いて非常に衝撃を受けたのを今でもはっきりと覚えています。

「なんだこの生々しい音は!」

というのが、第一印象でした。
確か、一番初めに聴いた曲が女性ボーカルのバラードだったと思うのですが、息が声帯を通ってくる音、ドラムのゴーストノートまで、クッキリ、ハッキリと聞こえてくるわけです。これにはさすがに腰を抜かしました。

次に聴いた曲が某ビジュアル系バンドのわりと激しい曲だったと思うのですが、このときもいろんな音に埋もれて聞こえづらいギターの音が手に取るようにはっきりとわかったのです。

「これは買うしかない」

こうして私はMDR-CD900STの虜になってしまい、「これから一生使い続けるであろうヘッドフォンはMDR-CD900ST以外にあり得ない」、となってしまったわけです。

前置きがとても長くなってしまいましたが、これが私のMDR-CD900STとの初めての出会いです。

パッケージ

家電量販店で売られているヘッドフォンは派手なデザインのパッケージに梱包されていることが多いですが、MDR-CD900STのパッケージは違います。シンプルな白い箱です。箱のどこを見渡しても「迫力の重低音!」、「抜群の臨場感!」などといったうさんくさい宣伝文句は見あたらない事からもメーカーの自信がうかがえます。また、プラグも金メッキプラグのような洒落た物ではありません。

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デザイン

はっきり言ってしまえば、このヘッドフォンは完璧に業務用で、オシャレなデザインではありません。しかし、このヘッドフォンが必要になるシーンは主に屋内ですし、実際に装着してしまえば見た目なんてわかりませんからこれで十分です。また、業務用なだけあって、右と左との区別にはLとRのプリントのほかに赤と青で目立つように色分けされています。

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900ST-LR.jpg

頑丈さ

業務用のヘッドフォンですから、頑丈さも求められます。このヘッドフォンは強度が必要な箇所には金属製の部品が使われています。もちろん足でわざと踏んだり、蹴飛ばしたりしたら壊れるでしょう。しかし、普通に使う分には多少雑な扱いをしても大丈夫なようにできています。

このように金属製の部品で作られている箇所がある。

900ST-MetalParts.jpg

ネジ止めされていてしっかりとした作りになっている。
「MADE IN JAPAN」というのもポイントが高い。

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プラグの根本には断線防止のためのバネがついていて、
ケーブルの耐久性が高められている。

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音質

商品カテゴリにも「モニターヘッドフォン」とあるように、このヘッドフォンはリスニング用というよりはモニター用として設計されています。では、「モニター」とは一体何なのか。かなり大雑把な言い方をしてしまうと「音の粗探し」ということです。

個性が無い事が個性だ

普通にリスニング用として家電量販店などで販売されているヘッドフォンはかなり音に味付けがされており、メーカーやモデルによって様々な個性があります。中でも重低音がより出るような設計がされていたり、逆にハイサンプリングレートの音楽ソースの観賞用に超高域の再生に優れているということを宣伝文句としているヘッドフォンがあります。ところがこのヘッドフォンにはそのような宣伝文句は一切ついていません。あくまで機器からでてきた信号がそのまま再生されます。言い換えれば「個性のない音」です。しかしそれがこのヘッドフォンの個性であるのです。

音楽を制作する場合、音の粗探し、つまりは聴いておかしい箇所やわずかな雑音でさえしっかりととらえる必要があります。そのような場面ではもはやヘッドフォン独自の味付けは不要なわけです。

悪い音はちゃんと悪く聞こえるというのは重要である

また、家電量販店で販売されているヘッドフォンは音があまり良くない音源ソースでもかろうじて良い音で聞こえるように味付けされていますが、このヘッドフォンはそういう味付けは一切されておらず、悪い音ははっきりと悪い音として聞こえます。もちろん逆も然り。ですから悪い音源ソースを再生して「なんだこのヘッドフォンちっとも音が良く無いじゃないか!」と言うのは早とちりです。

たとえば一般にMP3やYouTubeにアップロードされている音源は無圧縮音源に比べて音が悪いと言われます。これをほかのヘッドフォンで再生してみると、MP3の音の悪さがヘッドフォンによりうまくごまかされてそこそこ聴ける音になります。ところがMDR-CD900STでは音が悪いMP3はそのまま音が悪いMP3として聞えます。

これは音が悪いオーディオ機器にも言えることで、ほかのヘッドフォンではそもそもオーディオ機器から発せられるノイズが聞えないことがあるのに対し、MDR-CD900STでは機器から発せられるノイズがきちんと聞えます。

迫力の重低音は出ません。

よくヘッドフォンの宣伝文句として耳にするのが「重低音」。
ところがこのヘッドフォンは一般のヘッドフォンと比べて重低音は出ません。しかし、いわゆる「締まった低音」が出るため、低音が濁ることなく聞えてきますし、ストレスを感じる事はありません。

リスニング用途には向かないと言われていますが

このヘッドフォンは音楽を制作する現場の人用で、聴く人には向いていないという意見を耳にします。ある意味正しいでしょう。というのも、解像度、情報量の多さからありとあらゆる音が耳に飛び込んでくるため、慣れていないと聴き疲れしてしまうということもあるでしょうし、最初は低音の物足りなさを感じるかもしれません。

実際にネットを見ているとこのヘッドフォンで音楽を30分も聴いていると苦痛を感じる、という方もいらっしゃるようです。

では音楽鑑賞に全く使えないかというと、そんなことはありません。実際私はこのヘッドフォンをiPodでも使用していますし、それで実際に音楽を楽しんでいます。また、解像度や情報量の多さから、新譜を聴く度、また古い音楽を聴き直す度に新たな発見もあります。むしろ、このヘッドフォンに慣れてしまうとほかのヘッドフォンに行けなくなります・・・。

明らかにこのヘッドフォンで聴いて心地よいと感じた楽器

  • エレキベース・・・ベースは低音楽器ですが、実は倍音を多く含んでおり高音も沢山出ています。このヘッドフォンの場合倍音もふくめてきっちりと出てきますのでかなり厚みのあるベースの音が聞けます。
  • ドラム・・・抜けがよいスネアやキックの音をこのヘッドフォンで聴くと非常に心地よいです。音源によってはドラムを収録する際の部屋鳴りまでしっかり聞えます。
  • アコースティックギター・・・生々しいです。ボディの内部での共鳴、プレイヤーの指使いまでしっかり聞えます。
  • 女性ボーカル・・・これも生々しいです。息づかいがはっきりと聞えるのはもちろんのこと、耳元で歌っている感じがします。

語学の学習にも最適

実は解像度の高い事のメリットはほかにもあります。
それは語学の学習において、ネイティブスピーカーの発音がはっきり、しっかりと聞えてくるということです。実は私は7年ほど前から英会話の学習をしており、教材としてPodcastや外国の映画などを利用していますが、もちろんMDR-CD900STを利用しています。

MDR-CD900ST未体験の知人K氏にこれで音を聴かせてみた時の反応

K氏は、普段はiPodに付属のイヤフォンは使わずにわりと高めのカナル型イヤフォンを使っています。

私「iPodにおすすめのヘッドフォンがあるんだけど聴いてみる?」

K氏「おお、これか。なんかゴツイね」

私「じゃあ、聴いてて。ポチ(とりあえず適当な曲を再生)」

K氏「おお・・・・おおっ?・・・・・おおおおおお! すげー!!」

購入に関しての注意

MDR-CD900STには標準プラグしか付属しません。
iPodなどでこのヘッドフォンを使用する場合にはミニプラグから標準プラグへ変換するためのアダプターを購入する必要があります。その際、iPodケースなどを使用している方は先が細いアダプターを使わないとプラグがiPodの奥までしっかりと刺さらないことがあるので注意してください。

 

iPodケースによってはこのように根本まで刺さらない事がある。
当然正常に再生されない。先が細いアダプターを入手する必要がある。

IMG_5162.jpg

また、購入直後で新品の状態では予想以上に低音と高音が出なくて耳がつまったような音がします。しかしエージングすることにより徐々に出るようになってきますので、購入直後に「なんだこれは~~!!!(怒)」といって窓から投げ捨てないでください。

総評

まず、音楽を制作される方や楽器を演奏される方には間違いなくお勧めです。
値段は15000円前後ですが、それ以上の価値があります。また、語学の学習をしている方にもお勧めです。音楽鑑賞に関しては、人によりさまざまな意見があるため、私はここではハッキリとは「お勧めです」とは言いません。
しかし私自身はこのヘッドフォンで音楽鑑賞をバリバリ楽しんでいますし、iTunes Music Storeで新譜を買う頻度も明らかに増えたことをお伝えしておきます。

ICON DIGITAL社のCUBE Gの不具合について


G4からIntel iMacにDAW環境を移行するにあたって、3月11日の地震が発生する直前にサウンドハウスにオーディオインターフェースを発注しました。G4では PCIスロットにオーディオインターフェースを挿して使用していたのですがiMacにはPCIスロットがありませんのでUSBかFireWireのオーディオインターフェースを用意する必要があります。そこでいくつかの製品の中から私の条件に合う中で安価でコストパフォーマンスが高い物を選び発注しました。

そしてこれが今回発注したiCON DIGITAL社のCUBE Gです。Mac miniに似たデザインですが、実際にはMac miniよりも一回りほどサイズが小さく、本体上部の白い通電ランプがなかなかイカすデザインであります。

CubeG_Top.jpgCubeG_Front.jpg

私の制作環境で必要最低限の条件が、

  • 24ビット/96KHzで録音・再生が行える。
  • アナログ4入力、もしくはアナログ2入力+S/PDIFを1入力備えている。

ですので、この条件を満たすオーディオインターフェースでなるべく安価な物を検討し、その結果iCON DIGITAL社製のCUBE Gを購入したのですが、このインターフェース、ただの音楽鑑賞には使えますし、音質も値段以上なのですが、DAWに使用しようとするとブチブチと音切れを起こし、使い物になりませんでした。

具体的には、

  1. Digital Performerで24bit/48KHzとか、24bit/96KHzなどでプロジェクトを作成する
  2. モノラルトラックを作成し、ギターを録音する
  3. Live Room Gでキャビネットをシミュレートする。
  4. ProVerbでリバーブをかける

たったこれだけで、不規則に「プチ・プチ」という音の途切れが発生し、さらに同様のトラックを5本も作れば、「ブチブチブチブチ」とすさまじい音切れを起こして実際の音楽制作にはまったく使い物にならなくなるという状況です。サンプリングレートを減らしてみたりバッファサイズを大きくしてみても改善しません。(むしろバッファサイズを大きくすることによりもっと不安定になることもある)

 

実際に不具合が発生するプロジェクト。バッファサイズは2048サンプルと大きめ。
トラックの本数は画面に表示されている分だけで、CPU負荷も高くない。

trouble_project.png

実際の音楽制作ではもっとたくさんのトラックを使いますし、プラグインももっとかけます。
これだけで音切れが発生するということは、DAW目的には全くといっていいほど使えないという事です。

確かにUSBオーディオインターフェースはCPUに負荷がかかると不安定になるという話は聞きますが、今回の場合、ほとんど負荷はかかっていません。また、オーディオインターフェースをBEHRINGERのUCA222(V-AMP3を購入したときのおまけについてきたもの)に変更してみますといくら負荷をかけようがバッファサイズを小さくしようが安定して動作することから、やはりこれはCUBE G自体の問題である可能性が高いです。

Digital Performer以外のソフトではどうか、と試しにGarage Bandで使ってみました。すると、ソフトシンセで手弾きをした際に微妙なタイミングで「プチ、プチ」と音が途切れることがあります(泣)

では・・・MacではなくWindowsではどうか、ということでWindowsマシンに接続してギターを適当に弾いて録音してみたところ、録音の段階で微妙に音を取りこぼしている感じです(涙)

そこで、サウンドハウスのサポートにダメ元で連絡を取ってみました。実はこの製品を受け取ったのは地震発生数十分前、箱を開封する前に地震が来てしまったため、1週間以上動作確認どころか中身を確認することすらできませんでした。通常なら返品期間も過ぎている筈なのですがサウンドハウスのサポートの人は親身になってサポートしてくださいました。

とりあえずは一度日本での販売代理店であるフックアップと連絡を取ってみるように言われたため、現在フックアップと交渉している段階です。

音質は値段以上に素晴らしい

では、不具合が発生したからこの製品はまったくだめなのかというとそうではありません。

iTunes で音楽を再生する分にはまったく不具合が発生しません。また、本体にモニター用のヘッドフォン端子が装備されているため、音質劣化の原因となる外部のアンプなどを通さずに直接ヘッドフォンでモニターできます。この状態でiTunesで音楽を鑑賞するとこの製品の良さが分かります。

Macの内蔵オーディオで聴く音楽はヘッドフォンに楽器がへばりついているような平べったい印象を受けるのに対し、このCUBE Gで聴くときちんと奥行きが再現されるのです。

ただし、値段相応に削られている機能もある。

ダイレクトモニタリングができない

まず、ダイレクトモニタリングができません。ソフトウェアモニタリングのみです。

たとえば、入力端子にギターを接続し演奏したとします。そうするとその信号はいったんコンピュータに取り込まれてなんらかの処理をされてから再びオーディオインターフェースに戻ってきて、やっとモニタできる状態になるのです。つまり入力から出力までの遅れがあります。そして、なぜかバッファサイズをいくら小さくしても改善しません。(他のオーディオインターフェースならバッファサイズを小さくすると負荷が上昇する物の実用レベルまで改善します)

従って、ダイレクトモニタリングをしたい場合にはミキサーを別途用意し、ソフトウェアモニタリングをOFFにした上で、ミキサーでモニターしつつ、AUX SENDなどで録音したい信号をオーディオインターフェースに送ってやるという処置が必要です。

しかし、この製品をUSBポートに接続したり、Macがスリープから復帰した場合、問答無用でソフトウェアモニタリングが毎回有効になってしまいます。ですから、普段からミキサーでモニターをしている方は毎回音楽制作の開始に先立って、手動で「iCON Control Panel」なるものを開き、ソフトウェアモニタリングを切ってやらなければなりません。

Icon Control Panel
私の場合はこれを毎回音楽制作に先立ち起動して
ソフトウェアモニタリングを無効にする必要がある。

iconcpl.png

本体からUSBケーブルに放出されるノイズがハンパない

この製品の動作中は、Macの内蔵オーディオにすさまじいノイズが混入します。
CUBE Gで発生したノイズがUSBケーブルを伝ってMacに戻り、Macのオーディオアウトから出てくるという感じです。まるで嫌がらせかなにかのように・・・。

製品自体はとても素晴らしいので

しかしながら冒頭で申し上げた不具合が発生しなければまったくもって素晴らしくコストパフォーマンスが高い製品であるため、フックアップ社のサポートと交渉しつつ不具合が解消された場合には改めてレビューをさせていただきます。

同様の不具合を抱えている方のコメントをお待ちしております。

iMac+Digital Performerでこの製品を現役で使用されている方で、「俺も不具合が発生した!」という方、もしくは「俺は全然平気で使えているぜ!」なんて方からのコメントもお待ちしております。私は本気で困っています・・・。

近況報告です。


 長い間ブログを更新できずに申し訳ございません。

 4月7日に再び大きな地震が発生しましたが私は無事です。相変わらず停電でサーバが停止しましたが、今回はすぐに復旧しました。

 近況ですが、地震でめちゃくちゃになった部屋を未だに片付けているため、ブログにはまったくといっていいほど手がつけられる状況ではありません。

 修理したマザーボードの事、サウンドハウスから買った機材の事、Macの事などいろいろ書きたい事はあるのですがなにぶん忙しすぎるため、気長にお待ち頂ければ幸いです。

マザーボード修理 ~DELL Optiplex GX270 SFF その5~


 今回のご依頼は、毎度お馴染みOptiplex GX270 SFFのマザーボード3枚のコンデンサ交換になります。
今回はある企業の方からのご依頼で、「システム障害時の交換用ボードとして活用するためコンデンサの交換をお願いしたい」との事でご依頼を頂きました。3枚のマザーボードともどれもかなりの液漏れを起こしていました。

 なお今回は多忙であったため、コンデンサ交換前の写真を用意することが出来ませんでした。ここにUPしている写真はほぼすべて交換後の画像になります。

交換箇所は以下の18本になります。

緑:16V 1800μF 10φ 赤:6.3V 1800μF 8φ 青:6.3V 1500μF 10φ 水色:10V 680μF 8φ

IMG_4452.jpg

交換に使用したコンデンサはすべてサンヨーのWGシリーズです。
 まずはいつものようにCPU周りの大量のコンデンサから交換開始です。元々取り付けられていたコンデンサは2003年製造のルビコンMCZでした。
IMG_4453.jpg
メモリスロット周辺の4本。上の2本は6.3V 1500μF 10φ、下の2本は6.3V 1800μF 10φ、こちらも同じくルビコンMCZが使われていました。
IMG_4454.jpg
AGPスロット付近にある2本。右側の大きなコンデンサは6.3V 1500μF 10φ。元々はルビコンMCZでした。左側の小さな方は、10V 680μF 8φ。こちらはニチコンHMが使われておりました。IMG_4456.jpgコンデンサの交換で一番難易度が高かった箇所。VRMの入力側コンデンサ3本。ここはヒートシンクが邪魔して指が通らないため、ラジオペンチで慎重にコンデンサを掴みながら作業を行いました。
IMG_4457.jpg
さて、今回苦労した箇所はコンデンサの交換ではありません。
実はDELLの多くの機種はCPU周辺のコンデンサを交換する前にマザーボード裏に取り付けられている金属製のバックプレートを取り外さなければコンデンサの交換が物理的に行えないようになっています。ところが、今回はこのバックプレートの取り外しにかなり難儀しました。
 というのも、ほとんどの場合、このバックプレートの取り外しはすんなりとうまくいくのですが、今回は樹脂の経年劣化の影響か、固定用のピンが完全に固着しており、通常の工具ではまったく歯が立たずに取り外せませんでした。
 そこで、依頼者様に改めて連絡を取り、この固定用のピンを電動ドリル等で破壊し、新しいピンを取り付けても良いか問い合わせたところ、OKサインが出ましたので古いピンの破壊を決行しました。
 ハンダゴテを用いてピンの先端を溶かし、先の細いドリルで慎重に内部を切削していくと、基盤を傷つけることなくピンの取り外しが出来ました。破壊したピンはもう2度と使えませんから、市販の互換品を使うことになります。
 使用した市販のピンはAinexのPB-041という物で、DELLの機種にも使えます。しかしながらこの製品は出荷完了品であり、入手がなかなか困難であるため、今後固定ピンが必要になりそうな方は今のうちに確保しておいたほうが良いかもしれません。
IMG_4526.jpg
新しい固定ピンを装着したバックプレート。
IMG_4533.jpg
 このようにリテンションがマザーボードにきっちりと固定されました。
IMG_4530.jpgコンデンサの交換を終えた3枚のマザーボード。
今回は合計54本のコンデンサの交換でした。
IMG_4529.jpg

マザーボード修理 ~DELL Dimension 4500c(3台目)~


 今回のご依頼はこれまたお馴染みの機種、DELLのDimension 4500cになります。これで3台目です。
が、今回はいつもよりコンデンサの交換本数が多い上、一筋縄ではいきませんでした。

 依頼者様によりますと「2002年購入のDELL4500Cの立ち上がりが著しく悪くなり、中を開けたところ10数本のコンデンサが液漏れしているのを発見し、メールさせていただきました。」とのことでご依頼を頂きました。

 最近になって気づいたのですが私のところへご依頼を頂くDELLの機種は圧倒的に2002年~2003年発売の機種が多く、最初は当時問題になった電解液の過剰注入による不良コンデンサ問題が原因であると思っていたのですが、どうやらそれだけではないようです。

 この問題は主にニチコンの「HN」で起こっているのに対し、私のところへ送られてくるマザーボードはコンデンサのグレード問わず膨張や液漏れを起こしている為、単に不良コンデンサ問題だけが原因であるとは言いづらく、2002年という発売時期からみてもやはりコンデンサの寿命による物も大きいのではないか、というのが最近の私の意見です。

 さて、今回の場合、過去に修理した同機種と比較して今回はコンデンサの交換本数が19本と多く、さらに液漏れの度合いも重傷でした。次に、コンデンサをすべて交換したもの、不安定な起動はマザーボードのコンデンサ以外からも引き起こされていました。

交換するコンデンサは以下の19ヶ所になります。

赤 6.3V 2200μF 10φ 緑 16V 1800μF 10φ
青 6.3V 1800μF 8φ 紫 6.3V 820μF 8φ

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 やはり、CPU周辺のコンデンサは大きなリップル電流が流れ負荷がかかるためか、派手な液漏れを起こしています。
さらによく見てみますと背が若干高いコンデンサ2本(LITEONと書かれた基板のすぐ横にある2本)のコンデンサも微妙に膨張を起こしています。いままで依頼を受けたこの機種ではこの部位のコンデンサが膨らんでいるのは見たことがありませんでした。
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さらに、今まで修理を引き受けたDimension 4500cでは見られなかった箇所。ここのコンデンサからも液漏れが。
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チップセットとメモリスロットの間の細いコンデンサも膨らんでいます。

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DELLの機種では高確率でCPUスロットとメモリスロットの間にある2本のコンデンサ。やはりここも。

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交換に使用するコンデンサ

すべてサンヨー(現SUNCON)のWGシリーズです。ESRや最大リップル電流等はニチコンのHMとほぼ同等です。
今まではニチコンのHMやルビコンのMCZ等を場所によって使い分けていましたが、サンヨーブランドのコンデンサが品質的にも評判がとても良い事、また、従来よりもコンデンサを安価に入手できるルートを確保できた事から、例外が無い限りサンヨーのコンデンサを用いることにしました。

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 まずは液漏れがかなりひどかったCPU周辺のピカピカのサンヨーコンデンサに換装。
やっぱりいつ見ても新品コンデンサの輝きは良いなぁ・・・。

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メモリスロット付近のコンデンサも、液漏れしていない部位も含めて新品に交換。

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さて、すべてのコンデンサの交換が完了し、再び組み立てた後動作確認を行ったのですが・・・。
・・・電源は入る物のBIOS画面が出てこない。

・・・しばらく待って再び電源を入れてみると・・・BIOS画面が出た後、Windowsの起動途中でブルースクリーンが!

 後に、本体がある程度暖まると起動に成功するが、部屋が寒いと全く起動しないという事実に気づきました。
「これは、電源のコンデンサも死んでいるかも」

 早速依頼者様に改めて連絡を取り、追加で電源ユニットの発注を行って交換しても良いかどうかを問い合わせたところ快くOKサインがでましたので、早速電源ユニットを取り寄せ交換を行いました。

 ちなみにこの画像は取り外した古い電源ユニットになります。

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電源ユニットを換装し、改めて電源をON。
・・・なんと一発で起動しやがりました。念のため部屋の温度が氷点下を下回る深夜に再びテストを行いましたがバッチリ合格。

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 続いて、Windowsの起動テスト。
なんと電源ボックス換装前よりも起動時間がかなり早くなりました。実は以前他のパソコンのコンデンサを交換した際に、依頼者様から「Windowsの起動がかなり早くなった」とのご報告を頂いたことがあるのですが、その時は「でもなんでコンデンサを替えたぐらいでWindowsの起動が早くなるのだろう・・・」と半信半疑でしたが、実際に目の当たりにすると驚きを隠し得ません。

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 取り外したコンデンサの残骸です。
2002年製造で、寿命を迎えてもおかしくはない時期でした。

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その後依頼者様にパソコン本体を返送し、以下の動作報告をいただきました。

「問題なく起動、安定していることを確認いたしました。まだまだ私用のメイン機として、その後もXP機として、できる限り利用し続けていきたいと思います。」 

タスクバーのアイコンがちょっと変だったのはビデオカードのドライバが原因だった件


 最近はあまり聞かなくなりましたが、パソコンのトラブルで「アイコンの表示がおかしくなる」というトラブルが昔はよくありました。そんなときに定番になっていた解決法「アイコンキャッシュを削除する」、しかし今回は一筋縄ではいきませんでした。

 先日の事なのですが、Google Chromeで適当にWebブラウジングをしている最中に妙な違和感に気づきました。
よく見てみるとタスクバーのChromeのアイコンに妙な黒い影が出ているではありませんか。

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 「え~。Chromeのアイコンって元々こんな感じだったかな・・・」なんて不安に思っていましたが、よく調べてみるとChromeだけではなく他のアプリケーションのアイコンも黒い影が付いている物がありました。さらには自作のアプリケーションのアイコンまで・・・。

どうやらセーフモードでは正常に表示されるっぽい

 アイコンが化けてるのかな・・・とりあえずアイコンキャッシュを消せば直るか・・・」と軽い気持ちでアイコンキャッシュを削除→セーフモードで再起動→黒い影消失→「ほれみろ! やっぱりキャッシュ消せば直ったじゃないか」と思ったのがそもそも勘違い。

 なんと通常モードで再起動すると、例の黒い影が再び現れるのです。

 さらに、よくよく見てみるとどうやらこの黒い影はアイコンデータに含まれるアルファチャンネルのデータっぽい。
本来なら指定されたアルファチャンネル値に従って半透明で描画されなければいけないところが、問答無用で真っ黒になってしまっている事に気づきました。

 私は最近インストールしたアプリケーションがアイコン描画のAPIに悪さをしてるのではないかと疑い、ここ最近インストールしたアプリケーションをすべてアンインストールしてみましたがやはり症状は改善しません。

原因はビデオカードのドライバでした

 「それにしても・・・セーフモードではアイコンがちゃんと描画されるのに通常モードで起動するとアイコンがおかしくなるのは気味が悪い・・・。
 そもそも通常モードで読み込まれてセーフモードで読み込まれない物って・・・、ビデオカードのドライバとか、そういう重要な物だよな・・・。」

 なんて考えていると、実は最近nVidiaのドライバをアップグレードしたことを思い出しました。
該当のバージョンは「266.58」。ひょっとしたらビデオカードのドライバが悪さをしているのかもしれない。
そう思って、アップグレードしたドライバを削除し、ビデオカードの付属のCDからドライバを入れ直してみたところ、あっさりと直りやがりました!!!

chrome_normal_icon.png
 ビデオカードに付属のドライバのバージョンは「257.21」 どうやら新しいバージョンのビデオカードのドライバがアイコン描画関係に悪さをしていたようです。
 しかしながら、あのときセーフモードで再起動をしていなければおそらくは気づかなかったでしょう。

 ビデオカードのドライバが画面表示のアクセラレーションの肝を握っている事は前々から知っていましたが、まさかアイコン表示にまで影響を及ぼしているとは知りませんでした。なにしろ私はアイコンのビットマップをアルファチャンネルを考慮しつつそのまま転送していると思っていましたので。

 それにしても、ドライバのどこをどういじくればこのようにアイコン表示においてアルファチャンネルが無視されるようなバグが出来るんでしょうか・・・。こういう部分はすでに枯れていてほぼメンテナンスなんてしないと思っていました。

 というわけで、画面表示に妙な違和感を感じる場合にはビデオカードのドライバを古い物に戻してやると直る可能性もなきにしもあらずです。